中堅・中小企業のストレージ統合を加速するネットワーク・ストレージ「CLARiX AX100」SAN市場の裾野が広がる(1/2 ページ)

ストレージ管理の複雑化に対する悩みは何も大企業に限ったものでなはい。EMCは、大企業で培ってきたストレージ技術で中堅・中小企業のストレージ統合を支援する。AX100はまさに中堅・中小企業に適したネットワーク・ストレージだ。

» 2005年06月01日 00時00分 公開
[ITmedia]

 企業規模にかかわらず、多くのシステム管理者にとってストレージ管理は大きな悩みの種となっている。データ量の急増に伴うディスクの空き容量の管理やバックアップの手間の増大など、管理者の負担は増えるばかりだ。

 管理を煩雑にしている要因の1つに、多くのサーバが内蔵または外付けで直接ディスクを接続する「DAS(Direct Attached Storage)」を採用していることがある。DASでは、あるサーバでディスクの空き容量に余裕があるにもかかわらず、別のサーバではディスク容量が不足して対策が必要になるといった状態が生じやすい。特に、データベースサーバやファイルサーバ、電子メールサーバなど、用途ごとにサーバを分離している場合にこのようなディスクの空き容量の不一致が起こりがちだ。

 またDASでは、バックアップの手間も増大する。バックアップを取るためには、一時的にサービスを停止したり、サービスを停止せずにバックアップするには特殊なソフトウェアを導入したりする必要がある。さらにネットワークを利用したバックアップでは、作業中にネットワークの負荷が増大してしまうという問題もある。


EMCジャパンのネットワーク・ストレージ「CLARiX AX100」

 SANを導入することで、ストレージに関するこれらの課題が改善可能だ。しかしこれまでのSANは、主に大企業向けの大型のストレージが中心で、中堅・中小企業が導入できるような価格帯のものはほとんどなかった。そんな中、EMCジャパンがエントリ向けのSAN対応ネットワーク・ストレージ「CLARiX AX100」(AX100)の販売を開始した。AX100は、中規模から大規模システムに最適なSAN対応ネットワーク・ストレージとなっている。AX100の登場によって、SANの適用範囲は一段と広がるだろう。

AX100の位置付けと特徴

 EMCジャパンでは、SAN対応ネットワーク・ストレージとして、ハイエンド・クラスの「Symmetrixシリーズ」、ミッドレンジクラスの「CLARiXシリーズ」、コンテンツのアーカイブ向けの「Centeraシリーズ」をラインアップしている。


図1■EMCのSAN対応ネットワーク・ストレージのラインアップ。AX100は、EMCのラインアップでは最下位のエントリクラスに位置付けられる。価格も100万円程度からと、中堅・中小企業でも導入しやすい

 CLARiXには、CXシリーズの「CX300/500/700」とAXシリーズの「AX100」の合計4ファミリが用意されており、幅広いストレージソリューションに対応可能となっている。AX100は、CLARiXシリーズのエントリモデルに位置付けられており、主に中堅・中小企業のストレージ統合、バックアップ統合をターゲットに開発された。CXシリーズではファイバチャネル(FC)ディスクを採用しているのに対し、AX100ではシリアルATAディスクを採用することで低価格化を実現している。


EMCジャパン コマーシャル・ビジネス事業部マーケティング本部プロダクト・マネジャー 雨堤政昭氏

 「AX100は、単にシリアルATAディスクを採用して低価格化を実現しただけの機種ではありません。CXシリーズで培われたストレージテクロジを投入し、ターゲットとする市場に向けて新設計しています」と話すのは、EMCジャパン マーケティング本部プロダクト・マネジャーの雨堤政昭氏。

 AX100は、低コストのシングルプロセッサ構成と高可用性を実現するデュアルプロセッサ構成が選択でき、さらに接続インタフェースとしてファイバチャネルとiSCSIの選べる。また2Uラックマウント型のケースに、最大12台のハードディスクが搭載可能で、160Gバイトまたは250Gバイトのディスクを3〜12台まで追加できる。これにより、480Gバイトから3Tバイトまでの容量をサポートする。CXシリーズと異なり、ディスクユニットによる増設には対応していないが、最大3Tバイトまでの大容量が確保できることから、中堅・中小規模システムのストレージ統合ならば十分に対応できるだろう。

 ネットワーク・ストレージ製品の中には、スナップショット機能などのユーティリティ類がオプションになっている場合がある。このような製品は、一見すると安価に見えても、実際に運用するためには追加投資が必要になり、結果的に高い買い物になってしまう。

 「とかくストレージ管理というと特殊な知識が必要だと思われてきました。しかしAX100では、管理ツールやツール類を工夫することで、IAサーバなどと同様、ユーザー自身で導入・運用が可能なように設計されています。管理ソフトウェアやスナップショットツールなどを標準装備しているため、すぐに利用できる製品となっています」と、導入や運用コストについても考慮している。

 スナップショットツールを利用することで、データのスナップショット(ある時点の状態のデータを固定化したもの)を取り、データをバックアップしたり、別のサーバで参照したりすることが可能だ。また分かりやすい管理ツールにより、サーバに対するストレージの割り当てや、割り当て容量の変更など、管理者自身が手軽に行えるように工夫されている。

iSCSIモデルならば、さらに低コストに

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