「インターネットの縮図」を描くShowNet(2)Interop Tokyo 2005開幕特集(2/3 ページ)

» 2005年06月08日 09時14分 公開
[ITmedia]

櫨山 フロアにあるPodのほうも、今年はそれぞれまったく異なるテーマで作っていますが、そこをうまく統一的に管理するためにまとめていくのが難しい部分ですね。

 たとえばPod2は普通のエンタープライズ、Pod4はインターネットデータセンターで、コンテンツ配信やストレージサービスなども用意します。Pod5はBGPフルルートを渡して、本当のISP環境に似たドロップになります。またPod7はPPPoEのドロップでSOHO環境を作っていきます。またShowNet Cafeでは、自分のPCを有線で接続してOver 10Gbpsのネットワークに直結できるほか、従来のPCのほかにシンクライアントやブレードPCなど、来場者側に提供する端末もさまざまな形態をとります。そして、会議棟は無線ネットワークを提供するというように、それぞれの場所で提供する接続サービスが異なる中で、それぞれの接続サービスをいかに安全に提供するかという課題があって……。

海崎 会議棟の場合、無線を全部レイヤ2で引き回しているため、レイヤ2ですべて監視していく必要があるんです。またPod4は、先ほど述べたとおりデータセンターを想定したものですが、データセンターとしてどういうセキュリティサービスがあるかをいろいろ考えてみると、多分、外からの(DDoS攻撃の)Floodパケットをきちんと検知して逃がす、あるいは吸い込んであげる、という形でしょう。こういう具合に、エリアごとにネットワークが提供するサービスのイメージって異なると思うんです。それを一つ一つ分けて実現しようと思うとなかなか大変だったりするんですが。

櫨山 今年の目標は、それぞれの機器でできる機能をきちんと使い分け、安全なネットワーク接続を提供しようというコンセプトで設計しています。有名なワームのトラフィックはルータやスイッチのアクセスコントロールリスト(ACL)でフィルタリングすることで止めることができますから、ルータやスイッチでできることはネットワーク機器でやる。で、その上で、出展社にできる限りいろいろなサービスポートを提供しながら、ACLでは止められない攻撃はIDSやIPSといった製品で守る。そして、どうしても必要な部分にはピンポイントでファイアウォールをおいて厳重にアクセス管理をして守る、といった具合に、役割分担をきちんと行います。

櫨山氏 奈良先端科学技術大学院大学の櫨山寛章氏

海崎 また、セキュリティとは関係ないところですが、今年は、バックボーンデザインにも工夫しています。Interopの会場内に広域VLANサービスのようなものがあってもいいんじゃないかというイメージで、VLANのスペシャルドロップを会場内の広域レイヤ2で引き回すということをやります。また、ここで使うスイッチは、カタログスペック上は「ノンストップパケットフォワーディング」となっていますから、これを駆使して対故障性の高い広域のレイヤ2ネットワークを実現していくつもりです。

ITmedia 設計はもちろん、運用においても、ネットワークからの要求とセキュリティ上の要求が相反してしまうことはないのですか?

櫨山 そんなに違いはないと思うんですけれど……個々の得意分野はそれぞれあるけれど、ネットワークを安全に、快適に、楽しく動かすぞという意識でやっていると思うので、心が通じ合えば、ちゃんと話し合って問題を解決していけると思います。

山口 そこはあまり分けて考えないほうがいいんじゃないでしょうか。セキュリティって今は立ち上がりの時期だから特別だと言いたがるけれど、ネットワークの1つの要素としてちゃんと消化していかなければならないんじゃないかと思います。いつまでも特別なものであってはいけなくて、一体のものとして動いていくコンセプト、作り方を知らなければいけないと思います。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ