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» 2005年06月15日 17時09分 UPDATE

APC、データセンターのバックアップに燃料電池

APCの新しいデータセンター向けバックアップシステムは、停電時にUPSと燃料電池を併用して電力の供給を続ける。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 American Power Conversion(APC)は6月13日、燃料電池技術を使って停電時にもデータセンターを稼働させ続けるバックアップシステムを発表した。

 同社の「InfraStruXure with Integrated Fuel Cells」システムは、シングル42Uラックに収まるサイズで、水素ガスを燃料に、最大30キロワットの電力を供給する。同社のバックアップシステム担当プロダクトラインマネジャーのビル・ハント氏は、このシステムは5万〜10万ドルで、発電機を置くのが実用的でない場所(高層ビルなど)にあり、UPSだけで電力を供給した場合よりも長時間駆動できる電力を必要とするデータセンターを対象としていると語る。

 このシステムは、APCが構築した10キロワットの燃料電池「スタック」を最大3個、個々の機器に必要なレベルにまでパワーを落とすDC-DCコンバータ、Webブラウザからアクセスできる管理コンソールを含む。本体の前面からは、1つずつ金属の箱に入れられた燃料電池モジュールが見え、背面からは電力ケーブルと、排水を床上の小さなコンテナに送るドレナージチューブが見える。

 燃料電池システムは副産物として水蒸気を発生させるため、データセンターにはそれをキャッチするための排水管やコンテナが必要になるとハント氏。しかしAPCは、不要な水分を自動的に捕らえて室内から取り除くシステムを加える計画だという。

 燃料電池モジュールがフルパワーの状態になるには最大で20秒かかるため、InfraStruXureは停電の瞬間から燃料電池稼働までの間を埋めるバックアップのUPSも備えている。また燃料電池は変動する電力需要にうまく対応できないため、バックアップバッテリーは「電力の高低差のショックアブソーバのような役割も果たす」という。さらに燃料電池は稼働中、絶えずバッテリーを充電する。

 10キロワットの燃料電池モジュールは合計で13キロワットの利用可能な電力を作り出す。うち3キロワットはバッテリーの充電に使われ、残りはIT機器に供給される。

 InfraStruXureはTシリンダーに入った標準的な水素ガスを燃料にする。このシリンダーは高さ60インチ(152センチ)、直径9インチ(23センチ)で、建物の外に置いて、ステンレススチールの管でデータセンターにつながなくてはならない。1個のシリンダーで10キロワット燃料電池モジュールを79分間稼働させることができ、タンクを追加すれば稼働時間は延びるとAPCは説明している。

 N+1の冗長性を達成するには、最低でも3個のシリンダーが必要だとハント氏は語り、30キロワットシステムの場合、ユーザーは9〜10個のシリンダーを接続するだろうと言い添えた。燃料電池技術は高価だが、シリンダーはそうではない。Tシリンダーは通常30ドル前後だという。

 InfraStruXureは既に発売されており、価格は10キロワットモジュール当たり2万5000ドルで、さらに設置料が課される。設置料は通常2万5000ドル程度、つまり30キロワットシステムの価格は10万ドルになる。

 さらに、このシステムには燃料電池システムを冷やすための冷却水、ラックの排気をデータセンターの外に出す空調システムが必要となる。空調システムは、燃料電池の副産物である水蒸気や水素が確実にデータセンター外に排出されるよう設計されている。水冷システムが必要な理由の1つには、燃料電池の効率が約50%しかないことがあるとハント氏は言う。

 APCは研究所でワーキングモデルを披露したが、このシステムを導入・テストしている顧客は今のところいない。「このシステムの注文は受けているが、まだ顧客の名前は明かしていない」とハント氏は語っている。

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