HPが描くインフラ基盤とNetWeaverによる成功シナリオ

» 2005年06月23日 21時57分 公開
[ITmedia]

 SAPは、NetWeaverによってアプリケーション環境の柔軟性を確保しようと取り組んでいる。一般に、多くの企業システムにおいて、複数のアプリケーションが混在する環境があり、アプリケーション間連携に苦慮していることが多い。そのため、新しいビジネスプロセスを作り上げるには、膨大なコストと時間が必要になるケースもある。これらの問題を解決するためのプラットフォームとして、2003年3月にNetWeaverが発表された。

 だが、企業全体から見た場合、コストをはじめとしたさまざまなメリットを享受するためには、ハードウェアやOSを含めた他の部分についても柔軟性を持つことが求められる。

 こうしたケースで企業を支援するコンセプトとして、他のITベンダーとしてたとえば、HPが提唱しているのが「アダプティブ・エンタープライズ」だ。アダプティブ・エンタープライズは、簡素化、モジュール化、標準化、統合の4つの原則によって、ビジネスにおける俊敏性を実現しようとしている。

 HPは、この原則をすべての製品やサービスに組み込んでいるという。また、企業の俊敏性を測定するための手法や、ゴールの設定、解決策にいたるまでの方法論も確立しているとアピールする。

 では、SAP NetWeaverを補完するという意味で、HPのアダプティブ・エンタープライズは具体的にはどのようなことを可能にするのか。1つには、CPUリソースの動的な割り当てが挙げられる。CPUのリソースを仮想化し、アプリケーションに対して動的に割り当てることが可能になる。

 たとえば、経費入力などが集中しやすい月末には、会計アプリケーションに、経営分析を行う月初にはBWなどのデータウェアハウスにより多くのCPUを割り当てることが可能にある。また、しきい値を設定することで、自動的に割り当て変更をすることもできる。

 また、ストレージ拡張も容易になるとしている。SAPアプリケーションは利用期間に比例してデータが増大する傾向があるため、事前にストレージを仮想化、統合化しておけば、予想を超えたデータ量の増大にも迅速に対応できるという

 NetWeaverをベースとするアプリケーション環境と、それをインフラ面で支えるHP製品の融合は、質の高い企業システムの構築を模索するIT業界における1つの成功するプロトタイプになることを目指していく。

 HPは、SAPPHIRE '05で展示ブースを出し、NetWeaverと同社の技術の融合する姿を事例を交えて紹介する予定という。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ