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» 2005年07月03日 05時50分 UPDATE

Interview:Joiこと伊藤穰一氏、ブログの「今」を語る (1/3)

ブログ検索サイトTechnoratiの日本語版がスタートしたことを受け、デジタルガレージ共同創業者兼顧問の伊藤穰一氏にブログの今を語ってもらった。同氏がムカツク3つのモノポリーとは何か。

[西尾泰三,ITmedia]

 デジタルガレージは7月1日、「ニューコンテクストカンファレンス2005」を開催した。その場でブログ検索サイトTechnoratiの日本法人テクノラティジャパンの設立と、日本語版のサイトのオープンがアナウンスされている。ITmediaではデジタルガレージ共同創業者兼顧問の伊藤穰一氏にブログの「今」を聞いた。

伊藤氏 「ブログの伝道師とか書かれると困っちゃうんだよね。そんなこと言ってないのに」と笑うJoiこと伊藤穰一氏。

失われた10年がここに来て爆発

ITmedia テクノラティの話の前に、ブログがここまで盛り上がったことについて伊藤さんはどんな気持ちですか。

伊藤 これはテクノラティのデータですが、現在、約5カ月ごとにインデックスされているブログの数は倍になっています。2002年にTechnoratiがインデックスをはじめた際は、全部で2万ブログくらいでしたが、現在は毎日約2万ブログずつ増えています。

 インターネットの発展の歴史を振り返ると、最初にメールが相互接続されたときと、最初にWebが始まったときも、同じような盛り上がりがありました。しかしその後、バブルのころはポータルの出現などもあり、大企業の抱え込みが始まったため、この発展は休憩していました。得てして大企業はオープンスタンダードではなく抱え込みに走るため、XMLやWebサービスといった技術が普及していかないんですよ。少なくとも5年、いや10年と言ってもいいかもしれませんが、停滞していたインターネットの発展がここにきて爆発している印象を受けます。もっとも、ブログは投資家が作ったビジネスモデルではないので、ビジネスモデル的に不透明なのは部分があるのは否めませんが。

 ブログの定義はいくつかあると思いますが、オープンスタンダードに準拠していることが重要です。XHTMLとCSSで構成され、RSSを吐き出し、ブログのソフトもできるだけWebサービスを使って、そのAPIはオープンにする。そうすることで、誰でもそれらをつなげるソフトウェアを作ることができる。抱え込むのではなく、小さなデベロッパーが一緒にコミュニティーを作れるか、というのがブログの哲学ではないかと思います。ここ数年で革命的に伸びた新興企業の多くが、オープンスタンダードを用いて「自分」のためにシンプルに作る、というところからスタートし、そして成功しています。その意味では、韓国や一部日本のブログサイトは大企業が自分たちの独自技術で作ってしまっているので、旧態依然な感じがします。

ITmedia Technoratiのグローバル展開の先駆けを日本で行うことにしたのは、日本のブログを取り巻く環境がどういう状況にあるからといえますか?

伊藤 過去の経験から言うと、日本とアメリカで同時に立ち上げると成功する例は多いから、というのがあるからです。逆にヨーロッパを同時にやってうまくいくことはあまりないでしょう。それは言語の問題で、言語がほぼ統一されている日本やアメリカに比べ、中国や欧州は言語が一体化していない。ヨーロッパはマーケットとしては大きいが、言語がバラバラなのがネックです。言語が関係ないワインを売るのであれば、ヨーロッパを1つのマーケットとしてとらえられますが、例えばドイツは数万ブログが存在するのに対して、フランスは数百万のブログであったりと、国によって大きく状況が異なります。韓国は非常にブログが普及してますが、独自スタイルに走ってしまっているところがありますね。

ITmedia テクノラティのビジネスモデルや強みを教えてください。これは広告モデルなのでしょうか?

伊藤 もちろん広告もその1つですが、ブログで取り上げられている内容からビジネスインテリジェンスのような分析もできるわけで、中長期的にはほかのソフトウェアに組み込んだり、マスコミのサイトに露出させることでタイアップを図るなどの施策も考えてはいます。

 いずれにせよ、テクノラティはブログの検索サイトというよりも、その情報があまりGoogleなどで上位にランキングされないマイクロコンテンツであってもそれらのフィードをマネージし、さらにユーザーに合ったものにカスタマイズし、そしてそれをさまざまなデバイスにどう振り分けるかを考える際に真ん中のエンジンとして位置づけられると考えています。未来検索などのブログ検索との違いは、タグなどを活用し、もう少しXMLにしっかりと踏み込むことでフィードのコントロールを行うあたりですね。

 

伊藤氏の後悔

ITmedia 日本におけるブログはまだ歴史が浅いですが、過去のターニングポイントとなるような出来事などがあれば教えてください。

伊藤 「ブログを広めよう」と2002年にJapan Blogging Association(JBA)を武邑光裕氏、飯野賢治氏などと立ち上げたんですが、2ちゃんねるとかでたたかれたんですよね(笑い)。

 批判の論拠としては、「(ブログって)ただの日記じゃないか。また伊藤がさも自分が発明したかのようにうんぬん」であったり、「日本とアメリカは違う。(日本人は)閉鎖的でブログなどは普及しない」といったようなことなどでした。確かに当時、日本の日記サイトで使われていた技術、例えばはてなのリンク分析の機能などは、はっきり言ってブログが持っていた機能より高度なものでしたから、その意味では批判の中にも真実はありました。

 最初の段階で、日記のコミュニティーとコミュニケーションを取ってうまくやっていこうといった機運にならなかったことが後悔というほどではないにせよ思い起こされますね。

 僕はここ数年、年の9割くらい海外にいるのですが、日本では、シックス・アパートの平田君(編注:平田大治氏)などがブログの啓もう活動をしていますよね。僕も日本にいればもう少し早く普及したのかもしれませんが、まぁ僕が出しゃばるとまたたたかれますから、ほかの人がやったほうがいいんじゃないですかね(笑い)。

ITmedia それは日本におけるブログ普及ははもどかしいということ?

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