ブログで注目すべきはRSS――サイボウズBlog情報共有の未来(1/2 ページ)

特集「Blog情報共有の未来」、関連企業インタビューの第4弾は、「サイボウズ Office」シリーズで躍進を続けるサイボウズ。インターネットサービスへの参入表明など、同社はいま第二創業期と称したドラスティックな動きを見せている。

» 2005年07月11日 15時19分 公開
[聞き手:木田佳克、森川拓男,ITmedia]

 サイボウズは1997年の創業以来、Webベースのグループウェア製品を中心に、企業向けソフトウェアを提供してきた。その主力商品であるグループウェア「サイボウズ Office」シリーズは、国内2万社を超える企業に導入されている。

 現在、同社は体制を変更して第二創業期に入ったと言い、これまでのグループウェア製品を提供していくだけでなく、新たなソフトウェアとインターネットサービスの提供に力を入れていくという(関連記事)。このインタビューでは、プロダクトマネージャーの札辻秀樹氏と小川 浩氏に、グループウェアからの見解から、現在のBlog事情をどのように見ているかを聞いた。

キーとなるのはRSS

ITmedia サイボウズが考えるBlogとは?

札辻 Blogそのものについては、それほど意識をしていないというのが正直なところです。基本的にグループウェア自体は、部門や企業内の情報共有やナレッジの蓄積、そして業務のフロー化が根底としてあります。

 そして、その実現形態についてはそれほどこだわっていません。

プロダクト本部プロダクトマネージャーの札辻秀樹氏。サイボウズOfficeなどのグループウェアプロダクトに関わっている

 サイボウズの主流としているのはスケジューラーの側面であり、時間に対する情報共有が主軸となっています。そのほかメッセージング系の共有については、掲示板や社内メールであったり、どの見せ方がユーザーにとって最適であるかが重要であると考えています。このため、実現すべき目的にBlogの仕組みが最適であると判断できれば、その形態を採用するかもしれません。そのきっかけが無ければサポートするつもりはない、というスタンスです。

 日ごろBlogを構成する要素(テクノロジー)を見ていて思うのは、RSSやトラックバックという2つの存在についてです。ただし、グループウェアには通知という仕組みが既にあり、RSSについては早くから注目していました。ユーザーの傾向としては、通知、もしくは検索についてアクションを起こすことが多いため、これについてはこだわりを持っています。

 今後、グループウェア(サイボウズガルーン)にはRSSリーダーを搭載します。当初は、掲示板やそのほかのアプリケーションをRSS出力できるようにし、その受け手である通知機能もRSSリーダー化しようと検討しました。しかし、実現には難しい点があり、今回はRSSリーダーのみの搭載となっています。一方トラックバックについては、情報の関連性という形で注目はしていますが、さらに洗練される必要があるかと考えています。

小川 もともと「イントラブログ」と表現しているのは、Blogを社内で使おうという側面主導ではなく、RSSなのです。

cybozu.netを先導するネットサービス部ジェネラルマネージャーの小川 浩氏

 情報を書く手法としてBlogが取り組みやすいという観点であり、検索性に優れリアルタイムに通知可能という2つの側面から、社内システムと融合させるという方向性なのです。そのため、情報共有をBlogからアプローチすることと、グループウェアからアプローチすることは、最終的に行き着く先がそう大差なく、どこと連携するかがポイントと考えています。

札辻 このため、キーになるのは検索とRSSですね。これによって情報そのものの孤立化を防ぐ。Blogというよりは、RSSそのものが重要だと思ってます。だからこそ、本当は通知自体もRSS化したかったのですが、RSSリーダーをグループウェアに実装することにより、Blogを使いたい人は自由に使えばよいわけです。そしてユーザーの選択肢を広げる意味でもサポートしていこうと考えています。これは別に、「イントラブログ」を否定しているわけでもなく、時期が来ればサイボウズも何らかの形で取り組んでいくと思います。

小川 先日、Sun Microsystemsのティム・ブレイ氏と話す機会があったのですが、興味深いことを言ってました(関連記事)

 Sunは現在、社内Blogの推進を行っている指折りのベンダーだと思います。そこに所属する彼が、「社内Blogはそれほど多くは普及しないだろう」と言うのです。何故かと言うと、「社内には、Googleもないし、テクノラティもない」と……。つまりは、通知しても調べられないという点を指摘していました。

 逆に考えると、調べる手段、つまり検索性が整っていれば、そして社員に通知する術があれば利用価値があるとも考えられます。ただし、いまはそこが欠落しており、多くは社外に向けに書き始めているという現状です。

 さらに言うと、比較的小さな企業まで社内Blogが普及しない側面は、絶対数として見る人が少ないことだと分析しています。そのため、大企業とも言わず、部署ごとにBlogを書くブロガーがある程度居て、自分の意見を体系立てて書いていけるアーカイブさえ整えば、幹となる業務システムとは別に入り込んでいくと考えています。事実、サイボウズ社内でもそのような形のBlogが存在しており、自らの意見を書くツールとして使用しています。

 例えば、ガルーンに搭載してるRSSリーダーは、ほかのリーダーと比べればまだまだ機能的には洗練されていないレベルと言えるでしょう。しかし、社内の共有サーバに導入されていることのインパクトは大きく、誰かがBlogを立ち上げてもすぐに登録できる土壌こそが大切だと思います。もちろん社外のインターネット情報も集約できるわけです。

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