ブログで注目すべきはRSS――サイボウズBlog情報共有の未来(2/2 ページ)

» 2005年07月11日 15時19分 公開
[聞き手:木田佳克、森川拓男,ITmedia]
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 RSSはひとつのキーワードですべてを結び付けてくことができるという側面がありますが、現在はほかの方法で容易に実現するには難しいところです。

 社外のASP型のRSSリーダーを使っては社内情報を集約することが難しくなり、クライアント情報はRSSリーダーでも共有できない事情からも、結果的に陸の孤島になってしまうのです。それが、Web型のグループウェアに乗ることで、すべてを集約できることがエポックメイキングだと考えています。

RSSへの認知が高まるのはこれから

ITmedia サイボウズとして、現在のBlogサービスをどのように見ていますか?

小川 Blogサービスの動向は、当然視野に入れるべきだと思います。例えば、Webメール、Blog、あるいはオンラインカレンダーサービスを行いますというそれぞれの側面は、いずれも可能性があります(関連記事)。結局は、情報共有の場を提供するミッションからすれば、どれもあり得ることなので常に注目をしています。

 ただし、少なくともインターネットの世界では、どのサービスも似通ってきますよね。スタンダードという意味で多く出回り、今どきのインターネットサービスの基盤は考え方がほとんど似ています。その中でどのような創意工夫をするのか? がポイントであり、特色を見せるのが難しい時代ではあります。サイボウズはビジネスマン向けのようなカラーがあるので、そこにアイデアを絞り込んでいくことによって、発展性があるのではと考えています。

ITmedia Blogという個人で使われてきたツールに、サイボウズが取り組むことによって、ユーザー層を拡大する狙いがあるのですか?

札辻 まだ難しいかもしれませんね。私たちのユーザーのほとんどが、BlogとかRSSの言葉を認知し出したのが4、5カ月程度なのです。ガルーンにRSSリーダーを搭載すると発表した時には、ほとんどのユーザーが認知無しという状況でした。

 サイボウズは技術の大衆化をするのがミッションだと考えているため、まだ本当に役立つかどうかを模索している状況です。技術としては面白いものがある。ただしそれが表立って、今、ユーザーがRSSを知っておくべきかというと、別に知らなくてもいい段階なのでは? という感じですね。売り上げに貢献するかも微妙なところなので、現段階では影響がないように感じています。

重要なのはBlogの形態ではない

ITmedia cybozu.netの方向性は一般向けになるということですか?

小川 そうですね。だからといってGeekな層にヒットしようと思ってるわけではないです。ただ、理想を言えば、RSSやBlogといった側面を意識せず、使ってもらうのがよいですね。

札辻 一般的にBlogというと、ホームページを簡単に作ることができるツール、としか見られてないように思います。その延長上のイメージで使ってくれるようになれば、情報が自然に集積されることになり、Blogというものが利用価値を見いだすかもしれないと思います。

小川 情報がアーカイブ化されていて、検索しやすく、書く手間もそれほど難しくない、読む人も気軽な形態ならば、別に形は何でもよいと思うのです。

 例えばRSSでもAtomでも何でもよいのですが、通知能力さえ備わっていればBlogという形態で作る必要性は必ずしもないわけです。ソリューションとして同じであれば、いいのです。

グループウェアとBlogは共存する

ITmedia RSS以外でトラックバックの機能性は重視してないのですか。

小川 実際にグループウェアでトラックバックをベースにしたものを見たことがあります。しかし、正直あまり普及しないのではないかと思っています。

 そもそも、トラックバック自体が情報共有になるかというと、あまり関係がないと考えています。現在の仕組みでは手順が難しいという面もあります。トラックバックを受け取った人は反響があってうれしいかもしれませんが、ある程度のBlog同士のつながりになった場合、多少違った方向に走る側面があります。Blogが基のコミュニケーションのはずがIMで話すケースや、いちいちトラックバックしなくなる傾向を見かけます。そのため、コミュニケーションツールとしての方向性は違うのではないかなという気がしますね。

ITmedia Blogをグループウェアにうまく溶け込ますことによって、Blogのブランド効果がなくなる懸念は。

小川 Blogとグループウェアは共存するべきモノだと思います。溶け込むという方向性が王道にはならないと考えています。Blogの良さをキープしながら発展していくためには、グループウェアとは別のほうがよいのではないかと思いますね。

 例えば研究成果や即時性のない情報を書きとめておくために、みんなに渡しておくことは有用だと思います。考えたことを書いておく。公開、非公開にするか? という側面や、備忘録にもなるし、情報を書きとめておくというアーカイブ効果はとても高いと思うのです。

ITmedia 外部ツールとしてBlogを使っていくという考えですね。

小川 そうですね。アクセス権限などを考慮すると現状でのBlogの形態は立つ瀬がありませんので。グループウェアそのものの機能性と変わらなくなってくるわけです。そのため、方向性を誤ると、現段階でのBlogを使うメリットが無いということになります。

 インターネットは基本的にはオープンなので、それでよいのだろうと思いますが。だからこそ日本において、オープンでインターネットにも通じるグループウェアがなかなか受け入れられないのでしょう。そこは、どうしてもインターネットに情報を晒すことには抵抗感があるし、そのそも個人情報保護の観点からもクローズにすべき情報があるからです。

 その反面、Blogはオープンにし過ぎる傾向もあり、羽目を外すようなようなことも書いてしまいがちです。ガイドラインやルールなど、あるいは目的指向をきちんと作り上げてておくことが大切でしょうね。

ビジネスに役立つ側面こそがサイボウズのミッション

ITmedia グループウェアの部分とインターネットの部分とがありますが、今後、どのような取り組みをしていきますか。

小川 イントラネット、インターネットにおいても、やはり働く人、忙しい人が必要な情報へ容易にアクセスできることを追求する、というミッションには変わりがありません。

 だからこそ、この壁を越えてエンターテイメントに走ることもなく、サイボウズは何をやってるのか? などと言われないよう取り組んでいきます。サイボウズでは、ガルーンやOfficeなどのイントラネットのソフトウェアと、インターネットサービスの物作りが必ずしも連携したり話し合ってるわけではありません。しかし、全体的なミッションははっきりとしているわけです。このため、将来は連携すると面白いな……、などと、構想をしながら取り組んでいきます。

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