OSDLが欧州に進出へ、コーエンCEOはMSにも言及

OSDLはルクセンブルクにオフィスを開設。欧州に拠点を作ることで、IP(知的財産)および法律的問題への対応を推し進めていく予定だ。

» 2005年07月14日 12時29分 公開
[Steven J. Vaughan-Nichols,eWEEK]
eWEEK

 OSDL(Open Source Development Labs)のスチュアート・コーエンCEOは今週、ルクセンブルグに欧州オフィスを開設すると発表した。OSDLはLinuxの普及促進を目的とした世界的規模のコンソシアムで、リーナス・トーバルズ氏をはじめとする主要なLinux開発者が在籍する。

 また今回の発表に関連したインタビューでコーエン氏は、「オープンソースソフトウェアの発展に伴い、Microsoftが自社のアプリケーションをオープンソースの形で提供するようになると予想している」と語ったと伝えられている。

 この発言は、MicrosoftがいつかMicrosoft OfficeやOutlookなどのプログラムをLinux上でサポートするのではないかという、これまで何度も繰り返されてきたうわさを再燃させるものとなった。

 しかしOSDLの広報担当者は、「コーエン氏は具体的なことは何も語っていない」と否定している。

 「スチュアートは、Microsoftがオープンソースコミュニティーと協力する可能性ついて一般的なことを述べただけだ」(同広報担当者)

 Microsoftの担当者も、「当社ではLinuxに移植する予定はない」としている。

 欧州のOSDLオフィスのディレクターには、クロード・ビューレンズ氏が指名された。同氏の任務は、EMEA(欧州、中東、アフリカ)地域でLinuxの普及を促進することである。

 ビューレンズ氏は、AMC、Apollo Computer、Hewlett-Packardなどの企業で30年近くにわたり、エンタープライズコンピューティング、販売、マーケティングの経験を積んできた。

 「欧州におけるOSDLの新たな拠点の確立は、全世界でLinuxおよびオープンソース技術が活気づいており、成熟しつつあることを改めて示すものだ」とビューレンズ氏は発表文で述べている。

 コーエン氏は、とりわけ欧州はオープンソースソフトウェアの受け入れに積極的だと考えている。

 「社会的・経済的進歩を実現するために、Linuxとオープンソース技術の普及を促進するという基本的な考え方が、欧州全体に存在する」(コーエン氏)

 IDCの予測によると、EMEA地域におけるサーバの出荷および再配備に占めるLinuxのシェアは、2004年の15%から2008には25%以上に増加する見込みだ。

 さらにIDCでは、EMEA地域におけるLinux PCの出荷と再配備についても、向こう4年間でシェアが2倍に増えると予想している。

 OSDLの欧州進出に必要な経費の一部は、オレゴン州ビーバートンにあるOSDL本部での人員削減で浮いた費用によって賄われる。

 この人員削減の発表に際して、OSDLの広報担当者は、「OSDLの役割は、この1年間で変化し、それに応じて投資の配分を見直すことにした。中国および欧州に新オフィスを設立してグローバルな活動を推進するというニーズが高まっているほか、当初の予定よりも早い時期にIP(知的財産)および法律的問題への投資を拡大する必要があった」と説明していた。

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