Ottawa Linux Symposium初日リポート(5/5 ページ)

» 2005年07月27日 15時08分 公開
[David-,japan.linux.com]
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 この日最後のプレゼンテーションに登場したのは、IBMのアート・カノン(Art Cannon)氏だ。フィッシャー氏とは違って、カノン氏のノートパソコンはLinuxで動作していた。だが、フィッシャー氏のそれがそうでなかった理由をある意味で示す結果となった。オーバーヘッド・プロジェクタに合わせた適切な解像度になるように、カノン氏はかなり長い時間、Xを相手に四苦八苦する羽目になったのだ。その後でようやく始まったプレゼンテーションのタイトルは、「業務向けにオープンソースの価値をうまく伝える方法」である。それを見て、わたしの近くに座っていた参加者の1人が、「このザマでは無理だ」とこぼしていた。

 問題を解決したカノン氏はまず、自分はIBMの販売および流通部門の人間であり、技術系の人間ではないとの説明を始めた。そして、Linuxコミュニティーには2種類の信頼があると語った。1つは与えられた信頼、もう1つは獲得した信頼である。そして、自分には与えられた信頼しかないが、自分の話でLinuxコミュニティーからの信頼が獲得できたらいいと思っている、と話した。

 IBMがLinuxへの興味を初めて公に示したのは、ISPCon 1998でのことだった。ブースの屋根にペンギンを掲げたのだ。そのブースに、Jon 'maddog' Hall氏がやって来て、屋根のぬいぐるみについて、素知らぬ顔でIBMに質問したという。Linux Internationalの代表という自らの身分を明らかにする前に、IBMの知識と関心を試そうとしていたのだ。

 カノン氏は、Miguel de Icaza氏の次のような言葉を引用した。「オペレーティング・システムの代金を払うために、我が国は何バレルの石油を輸出しなくてはならないのだろうか」

 Linuxおよびオープンソースに対する外国からの資金投入は、この根本的な前提に関連する部分が大きい。たとえばベネズエラには、この観点がそのまま文字どおり当てはまる。Microsoft Windowsのライセンス代を払うために、何バレルの石油を輸出しなくてはならないのだろうか。

 カノン氏は中国についても言及した。中国は、世界貿易機関(WTO)への加盟を目指している。その過程として、知的所有権に関する法律を他国並みにし、財産権も同調させなくてはならない。それを達成する一環として、Microsoft製ソフトウェアを正規のものにする必要があり、そのために、Microsoftに直接支払うライセンス料として、推定320億ドルのコストがかかる。そのような出費を避けるべく、中国が代わりに選んだのが、Linuxへの資金投入だった。

 ブラジルも、同じような考えのもとに、政府のシステムの80%をLinuxに移行するという3年計画を発表し、その達成のために、プロジェクトに対してしかるべき資金提供を行った。

 カノン氏は最後に、IBMが持つ特許の多くをオープンソース・コミュニティー向けに開放することを約束すると再度強調した。

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