Ottawa Linux Symposium 4日目リポート(1/5 ページ)

「君は、コンピュータ産業には向かないね」かつてこう言われた男――Red HatでLinuxカーネルの開発をリードするデイブ・ジョーンズ氏がOttawa Linux Symposiumの最後を飾る基調講演を行った。

» 2005年07月29日 01時48分 公開
[David-'cdlu'-Graham,japan.linux.com]

 Ottawa Linux Symposiumの最終日。Red HatでLinuxカーネルの開発をリードするデイブ・ジョーンズ氏による基調講演が、その掉尾を飾った。

 この日、わたしはまず、正午に始まる一般セッションの中から「NPTL安定化プロジェクト」と題するセッションを選んだ。発表者は、欧州企業BullのSebastien DecugisとTony Reixの2人である。

ライブラリの虫干し

 両氏は、所属企業で行った14カ月にわたるプロジェクトについて発表した。比較的新しいライブラリNative POSIX Thread Library(NPTL)を徹底的にテストしようというプロジェクトの報告である(関連記事参照)。プロジェクトで実行された適合テストは2000を超え、1つずつ、しかも2段階の手間をかけて実行していったのだという。

 各テストの第1段階では、POSIX標準の規定を調べ、ライブラリ・ルーチンの動作状態と比較し、テストを作成する。

 第2段階では、そのテスト・ケースを実行するためのコードを書き、実行し、結果を評価する。結果のログ・ファイルは300キロバイトに及ぶこともあり、当初は、ログを読むだけで2日もかかったという。

 そこで、TSLogParserを利用したところ、作業はわずか15分に短縮したそうだ。結果は表形式で示され、生データが詰まった長大なログ・ファイルを読まなくても、正常個所と不正個所を詳細かつ容易に知ることができたという。

 これまでに見つかったバグは、glibcに22個、カーネルに1つ。そして、POSIX標準自体にも6つ。これは、仕様が曖昧であったり、矛盾したりしている個所である。

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