今はSun最大のチャンスか?Trend Insight

わたしはここ3年間、Sun Microsystemsとそのビジネスモデルを厳しく批判してきた。しかし今、すべてのピースは揃っている。後はSunがそれぞれに働きかけて、機運が向いているうちに新しい試みを実践するだけだ。

» 2005年08月01日 17時42分 公開
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 最初に認めなければならないが、わたしはここ3年間(そのうち2年は本コラムにおいて)、Sun Microsystemsとそのビジネスモデルを厳しく批判してきた。

 しかし、証券売買における唯一の価値基準である株価という観点から考えると、わたしの主張は総論としては正しかったが、いくつかの各論においては間違っていたようだ。誤解のないように言っておくが、わたしはSunバッシングをしたいわけではない。ただ仲買人という職業柄、希望的観測ではなく、現実的視点に基づいた取引をしなければならないのだ。

 そこで、わたしは市場仲買人としてSunを評価するようになった理由を考えてみた。思い出したのは、90年代初頭のSunのことだ。Salomon Brothersの取引フロアの最新ワークステーションはSun Microのワークステーションだった。つまり、過去にはきちんとした製品もあったし、ブランド的アピール力もあったのである。

 Sunは必死になって収益の拡大を図る必要がある。この点に関しては、今も意見を変えるつもりはない。

 Sunに対して、新製品、できればコンシューマ向け製品を作るよう求める声は多い。Appleの真似をするならば、そういう方法もあるだろう。しかし、新製品に付加価値を持たせるのではなく、Wintelを置き換える商業的な発展性を備えたコンピュータを作り出すことに付加価値を持たせるようにしたらどうだろうか。

 まず考えるべきことは、Sunの得意分野は何で、Sunの本質は何かということだ。

 Sunは過去も現在もWintel連合のアウトサイダーである。SunはIntelに対抗してSPARC(80年代にその名のとおり光を放っていたCPU)を開発し、Microsoftに対抗してSolarisを開発した。Sunは独自のプロプライエタリな非Wintel部品を扱う総合ベンダーだったが、残念ながらその商業的な成功には限界があり、今では下降線をたどっている。

 SunがWintel連合のアウトサイダーであるということは、わたしに言わせれば、同社の潜在的な強みである。その点をもっと大きくアピールすればいいのではないだろうか? Sunは、自社独自のプロプライエタリな非Wintel要素だけを統合するのでななく、市場に一歩踏み出して、最善の組み合わせの非Wintelコンポーネントを1つのマシンにまとめ上げるという方向に進むべきではないだろうか?

 わたしはコンピュータエンジニアではないので、それを踏まえたうえで話におつきあいいただきたい。仮にSunのボックスにAMD CPU、Linux/Solaris OSとアプリケーションを搭載したSun Microのワークステーションまたはラップトップを作成したとして、これに市場はどう反応するだろうか? この方法は、DellやAppleのマシンの作り方と何ら変わりはない。ただWintelを使っていないというだけだ。Sunは既に、自社のスタックには何でも統合できると発表している。もちろん、この新しい「仮の」マシンではJavaを使用することになる。

 このマシンでは、「死のブルースクリーン」やMicrosoftのセキュリティ問題に遭遇することはない。Linuxはセキュリティ面で格段に優れているし、AMDの高パフォーマンスCPUはSPARCほどヒートアップしない。

 この試みは、それぞれの参加者にとってどんな得があるだろうか? AMDはSunと独占的な供給契約を結んでいる。AMDは既にIntelとの訴訟中なので、これにより、自社製品とLinuxを組み合わせて何ができるかを証明できるだろう。

 また、Linuxを商用コンピュータ上で使用できるようになるので、Linuxベースのアプリケーションの開発を進めている開発者コミュニティにとっては大きな刺激になるだろう。

 企業や消費者は、従来のものから移行するのにふさわしい価格であれば、このような製品に注目するだろう。これは企業市場に食い込める可能性を持っている。一部の企業は、Wintel――とりわけMicrosoft――への不満を公然と述べているからだ。

 鍵を握るのは価格である。SunはAppleの真似をしたり、ハイエンドをターゲットにしたりはしないだろう。重要なのは、かなりの不満を抱えているWintelユーザーに新しいマシンを使ってもらい、Wintelマシンから乗り換えさせることだ。

 すべてのピースは揃っている。後はSunがそれぞれに働きかけて、機運が向いているうちに新しい試みを実践するだけだ。

Melanie Hollands――ニューヨーク市を拠点とするITMJビジネスアナリスト。



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