ストレージ統合がVMwareテクノロジの威力を引き出すサーバの仮想化とネットワーク・ストレージの関係(1/2 ページ)

分散されたサーバ環境の統合を進める企業が国内でも増えている。このサーバ統合の手段として仮想化技術を用いるメリットは大きい。同時にSANでストレージ統合を行えば、さらに柔軟な運用環境へステップアップできる。

» 2005年09月01日 00時00分 公開
[ITmedia]

 運用管理の手間やコストを考えると、サーバを統合してインフラをシンプルにしたほうがよい。オープンシステムはその小回りの良さを利点に広く浸透したが、結果として乱立を招き、運用管理コストの増大として跳ね返ってきた。

 ダウンサイジングが叫ばれた1990年代に比べれば、ハードウェアやネットワークの性能は劇的に向上し、性能比当たりのコストは下がった。運用管理の複雑化を考えれば、高性能なサーバに統合していくことのメリットは大きくなっている。管理者にとっても、多くのサーバを管理するより、少ないサーバを管理する方が管理工数が削減され、運用管理が楽になるのは間違いない。

 サーバ統合といっても、そのやり方にはいくつかの方法がある。統合管理ソフトを使って一元的な管理プロセスを導入する方法、データセンターなど1カ所の拠点にすべて集約してしまう方法――などが挙げられる。だが、乱立しているサーバを少ない台数に統合して、絶対的な数を減らしてしまった方がより大きな効果を上げられる。

サーバの仮想化技術をサーバ統合に生かす

 そこで注目されているのが、VMwareに代表される仮想化技術だ。既存のアプリケーション資産を生かしながら統合できたり、複数OSを1台のサーバシステム上で同時稼働させ、必要なシステムに必要なリソースを割り当てられる。また、OS・アプリケーション含めた環境全体をファイルとして扱えるため、新規サーバの構築や別のサーバへの移行、クローンの作成などが容易になり、柔軟性の高さとコストメリットを評価して、VMwareを用いたサーバ統合を行う企業が相次いでいる。

 VMwareテクノロジは、ハードウェアとOSの間に仮想化レイヤを作り出す技術といえる。CPUやメモリ、NICなど実際のハードウェアとマッピングされた仮想マシン上でOSを稼働させるため、オーバーヘッドが少ないのが特長だ。各仮想マシンはそれぞれ独立しており、1台のハードウェア上で異なる複数のOSを同時稼働させられる。“1台のサーバに1つのOS”というこれまでの概念を取り払い、ハードウェアの物理的な制約からOSを切り離して柔軟な運用が行えるようになる。

渋谷一郎氏

 VMware製品の大手ディストリビューター、ネットワールドで数多くの事例を手がけてきたSI技術本部プラットフォームソリューショングループ課長の渋谷一郎氏は、「Windows NT4.0のアプリケーションを現在も利用しているところは多い。しかし、これらの資産を生かしたまま最新のハードウェアに移行させようとしてもドライバの問題などで移行させられないことがある。VMware製品であれば、これら旧資産を活用したままサーバの統廃合を行えるとあって選択する企業も多い」と話す。

VMware製品とネットワーク・ストレージの関係

 特にエンタープライズサーバ環境向けの「VMware ESX Server」は、x86サーバ上で動作する一種のOSとして稼働するのが特徴だ。VMware ESX Serverでは「VMotion」と呼ばれるオプション機能を使用でき、これが物理的に異なるサーバ間の橋渡し役となって、サービスを稼働させたままOSとアプリケーションを別サーバへ自由に移動させることを可能にしている。この機能を活用すれば、既存のアプリケーションとハードウェア資産をうまく活用しながらサービスの可用性を高められる。ある自動車部品の製造会社では、Windows NT4.0上に構築した生産管理システムをVMware ESX Severを用いて、最新のハードウェアへマイグレーションし、同時にVMotionを利用して可用性の高いシステムへと再構築するといった使い方をしている。

 だが、「VMotion機能は、ネットワーク・ストレージが必須条件です」と言うのは、EMCジャパン マーケティング統括本部プロダクト・マネジャーの雨堤政昭氏だ。事前にVMotionのターゲットとなるサーバとストレージをSANで統合しておかなければ、自動車部品会社のような運用へはつなげられないという。

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