米マサチューセッツ州、MS OfficeからOpenDocumentに乗り換え表明

世界の行政府機関がオープンソースや標準技術の支持を打ち出す中、米国の主要な行政府機関としては初めて、マサチューセッツ州がMicrosoft Officeの段階的な使用中止計画を明らかにした。(IDG)

» 2005年09月02日 08時48分 公開
[IDG Japan]
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 マサチューセッツ州は8月29日、OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)標準化団体のオープンなドキュメントフォーマットをサポートするオフィススイートを支持し、Microsoft Officeの利用を段階的に縮小していく計画を同社のWebサイトで明らかにした。

 マサチューセッツ州のCIO、ピーター・クイン氏は、最近採択された「Open Document Format for Office Applications」(OpenDocument)をオフィス文書の標準としてサポートするとしている。OASISで策定されたOpenDocumentは、XMLベースのファイルフォーマットで、テキスト、表計算、チャート、図版入りの文書に求められる機能をカバーしている。

 クイン氏によれば、ベンダー独自のドキュメントフォーマットからOpenDocumentへの移行は、「将来の方向性に関して、業界の代表者や専門家らとの一連の議論」を経て決定されたという。これらの議論は、「特にオフィス文書に関連するオープンなフォーマット」「州政府の記録文書に対する現在および将来にわたるアクセシビリティの重要性」、そして「フォーマットが公開されていて選択の余地があるか」を中心的なテーマとして行われた。

 Microsoft Officeや、Lotus Smart SuiteおよびWordPerfectといったマサチューセッツ州政府機関が利用しているオフィススイートは、どれもベンダー固有のドキュメントフォーマットが使われている。一方、OpenDocumentをサポートしているスイートには、OpenOffice、StarOffice、KOffice、そしてIBM Workplaceなどがある。

 ほとんどの同州政府機関ではベンダー独自フォーマットのスイートを利用しているため、「新しいオープンな標準への移行はかなり大規模なものになる」という。2007年1月1日を実施日の目標とした段階的な移行計画を作成することになる。

 Microsoftのスポークスウーマンは、Officeやほかの製品でXMLをサポートしており、同社もデータの相互運用性確保や公的な記録保管のためにオープンなフォーマットを支持しているが、行政府が単一のドキュメントフォーマット、特に現在利用しているものよりも機能が劣るだろうフォーマットを押し付けるべきではないと信じているとした。

 さらに同スポークスウーマンは、文書、写真、ビデオ、そして音声といったさまざまなファイルフォーマットは今後さらに密接に結びついてくる、OpenDocumentをサポートし、異なるのファイルフォーマットのためのほかのXMLスキーマをサポートしないのは間違いだと付け加えた。

 オープンソースやオープンな標準技術を支持し、世界中で多くの政府機関がMicrosoft製品の使用を取り止める計画を表明しているが、マサチューセッツ州は同様の計画を明らかにした米国で最初の主要な行政府機関となる。Microsoftのソフトウェアがオープンソース技術によってリプレースされた特筆すべき例としては、ドイツのミュンヘン市、ノルウェーのベルゲン市、そしてウィーン市でのLinux採用がある。

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