「Oracle以外のDBサポートも検討」とエリソンCEO、城門は開かれるのか?Oracle OpenWorld 2005 San Francisco Report

Oracle OpenWorld 2005 San FranciscoのキーノートにいよいよエリソンCEOが登場し、「Oracle Fusion ApplicationsでOracle以外のデータベースを認定保証することを検討している」と衝撃発言。

» 2005年09月22日 19時51分 公開
[谷川耕一 ,ITmedia]

 米国時間の9月21日、3日目を迎えた「Oracle OpenWorld 2005 San Francisco」では、いよいよOracleの総帥、ラリー・エリソンCEOが登場した。今回のカンファレンスを通してOracle幹部から「顧客志向」が繰り返し強調される中、ライバルらに対して常に攻撃的な発言で知られるエリソン氏が、どのような発言をするのか注目された。参加者の期待を裏付けるように、Oracle OpenWorldのメインイベントともいえる彼のキーノートには、開場の1時間半も前から長蛇の列が出来た。

Oracle OpenWorldのメインイベント、エリソン氏のキーノート

 最近のエリソン氏のキーノートのスタイルは、最初の20分程度話をするだけで、残りは参加者の質問に答えるというものだ。冒頭では標準化に対するOracleの姿勢が説明され、すべてにおいて業界標準をサポートしていくことが、彼の口から約束された。

 SOA(サービス指向アーキテクチャー)にも話は及び、顧客が既に投資したアプリケーションの環境は、カスタムアプリケーションも含めて保護すること、そしてOracle以外のアプリケーション製品の組み合わせもサポートするとした。こうした標準やSOAへの対応によって、顧客が自由に選択できるようにするということが、あらためて強調された。

 「OracleがProject Fuison環境でIBMのWebSphereをサポートするという発表には、大勢の人が驚いたはずだ。もちろんすべてにおいてOracleのアプリケーションを選んでくれればうれしいが、既にIBMの製品を選んでいる顧客もいる。そのためミドルウェアの領域では、IBMの製品であっても認定して動作を保証していく」とエリソン氏。

大転換、DB2もサポート?

 参加者はさらに踏み込んだ次の発言に驚かされることになった。

 「未決定事項だが、Oracle Fusion ApplicationsでOracle以外のデータベースも認定保証することを検討している」(エリソン氏)

 Oracleが、IBM DB2をはじめとする他社データベース製品をProject Fusionで実現される次世代アプリケーションでサポートするかもしれないというのだ。

 買収した金融アプリケーションのi-flexやRetekについては、DB2環境のサポートを既に発表している。これらは、既存顧客が他社のデータベースを利用していた場合に、その環境ごとサポートをしていくことであり、WebSphereについても現状でWebSphereとOracleという組み合わせが少なくないことをOracleとしても認めていく、といういうものにすぎない。つまり、既存顧客の投資を守るということだ。

 これに対して、Project Fusionという新たなOracle製品構成の中核部分となるデーターベースに、他社製品のサポートを検討するということの重みは違う。これまでOracleという企業を築き上げ、すべての製品、サービスの根幹を担ってきたデーターベースの城門を開け、長年戦ってきた他国の軍勢を招き入れるというのだ。

 「可能性は五分五分。現在、詳細に調査し、評価している。顧客がなぜOracle以外のデータベースを選んだのか、幾つかのユーザーグループから選択の理由を聞いている段階だ。重要となるのは、ポータビリティとセキュリティという2つの大きな課題だ」とエリソン氏。

 この決断がどちらに転ぶかは、エリソン氏の言葉どおり分からないが、Oracleにとって大きな決断になると思われる。技術力を前面に押し出し、製品ライセンスを売ってきたOracleから、顧客志向のOracleに変わるということは、根幹のデーターベースの牙城さえも揺るがしかねない大きな転換なのかもしれない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ