OpenOffice.org 2.0はOffice 12に影響するか月刊「OpenOffice.orgコミュニティ通信」――10月号(1/2 ページ)

Office 12の情報が出始める中、オープンソースのOpenOffice.orgがいよいよ2.0リリースのカウントダウンを始めた。9月のトピックを振り返り、いまオフィススイートに課せられている問題も考察してみよう。

» 2005年10月12日 20時42分 公開
[可知 豊,ITmedia]

 OpenOffice.org 2.0リリースに向けての作業が本格化し、面白いニュースがいろいろ飛び込んできました。同時に、マイクロソフトの次期Officeに関するニュースも気になるのですが、リリース予定は1年先の2006年後半です。

StarSuite 8が発売開始

 9月27日、Sun Microsystemsは、大規模企業ユーザー向けにStarSuite 8 エンタープライズ版の発売を開始しました(関連リンク)。こちらは、VBAの移行支援ツールを装備しており、日本語体験版も入手可能です(関連リンク)

 9月30日、ソースネクストは個人ユーザー/小規模企業ユーザー向けStarSuite8の発売を開始しました(関連リンク)。クリップアートやテンプレートを充実させたほか、Microsoft Office互換の日本語アウトラインフォントを装備しています。

 「OpenOffice.orgの魅力は、無償で入手できるところにある」と考える人も多いと思います。しかし、本格的な導入には、何らかのユーザーサポートが必要になります。それを可能にするのが、このようなOpenOffice.orgの商用パッケージ版です。OpenOffice.org 2.0では、モノ足りない/サポートが必要だという人は、ぜひ商用サービスについて検討すればよいでしょう。

OpenOffice.org リリース候補1を公開中

 9月29日、OpenOffice.orgコミュニティは正式リリースの先駆けとなるRC1(リリース候補:Release Candidate)をアナウンスしました(関連リンク)。このニュースは全世界が待ち望んでいたかのように、OpenOffice.orgのオフィシャルサーバが非常に重い状況となっています。ミラーサイトも合わせてご利用ください(関連リンク)

 すでにWindowsユーザーで、2.0β版か開発版スナップショットをインストールしている場合、2.0RC1をインストールする前にはアンインストールする必要があります。2.0RC1のWindows版インストーラでは、2.0β、あるいは開発版スナップショットのバージョンを正しく認識できず、2.0RC1よりも新しいバージョンと解釈してしまうため、エラーメッセージを表示してインストールに失敗するのです。

 なお、この記事が掲載されるころには、RC2が公開される予定です。正式リリースまでもう一歩という状況です。

開発ツールの日本語版を入手するには

 OpenOffice.orgを利用したシステムや追加ツールを開発したいと考えている人もいるでしょう。

 2.0を利用したプログラムを開発するには、StarSuite 8のSDKをダウンロードしておきましょう。マクロBasicやJava、C++を使った制御方法の詳しい解説と、多くのサンプルコードが収録されています。OpenOffice.orgにも、ほぼそのまま利用できるはずです。ダウンロードページは英語ですが、日本語版も入手できます(関連リンク)

素材集とセミナーテキストも用意しました

 OpenOffice.orgは、それだけではテンプレートなどの素材や操作マニュアルがあまり付属してきません。そこで、それを補完するツールも用意しました。

 「SozaiOOo」は、OpenOffice.orgにテンプレートやクリップアート、サンプルファイルなどを追加するためのツールです(関連リンク)。「あわしろいくや」氏によって開発されています。以前は、OOoAddonsという名称でしたが、追加ツールやプラグインと紛らわしいということで、この名称に変わったのです。現在、Windows版が配布されていますが、Linuxなどの場合はインストーラのソースファイルに含まれているファイル群をコピーすることで利用できます。Linux用インストールスクリプトを書いてくれる人を募集中だそうです。

 セミナーテキストは、OpenOffice.orgを使い始める人に手頃な資料です(関連リンク)。これまでMicrosoft Officeを利用してきたユーザーを対象に、3時間程度の講座で、OpenOffice.orgの基本と特徴的な機能を紹介することを目的にしています。PDFファイルで公開されているため、こちらも参考になるでしょう。

安定版1.1.5もバージョンアップ

 2.0の話題ばかりですが、現在の安定版のメンテナンスも続いています。9月16日、OpenOffice.orgコミュニティは、最新のOpenOffice.org 1.1.5の各国語版をリリースしました。

 今回のリリースは、バージョン1.1.4からのバグフィックスです。73個所の不具合が修正されており、今まで以上に安定度を高めています。また、1.1.4で発見されたセキュリティ問題も修正しています。新機能としては、バージョン2.0でもサポートされているOASIS OpenDocumentフォーマットの読み込み機能があります(関連リンク)

OASIS OpenDocument、ISO標準に向けて動き出す

 「日本語OASISニュース10/03号」によると、Eビジネスのためのデータ標準を策定する標準化団体OASISは、OpenOffice.orgで採用されているオフィススイートのファイル形式OASIS OpenDocumentを、国際標準としての承認を受けるため、ISO/IECのJTC1(Joint Technical Committee)に提出を行ったそうです(関連リンク)。OpenDocumentはOASIS標準として採択されていますが、これで、国際標準規格に向けて動き出すことになります。日本でも、JISとして採用される日も遠くないかもしれません。

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