ライセンス条件は守れているか――7割の企業に疑問

72%の企業が、ソフトライセンス順守状況を間違いが起きやすい手作業で監視しているか、あるいは監視を行っていないことが調査で明らかになった。

» 2005年10月14日 16時22分 公開
[John Pallatto,eWEEK]
eWEEK

 昨年マルチコアCPUが登場したことで、この1年、プロセッサベースのライセンスの価値をめぐり幅広い議論が行われてきた。にもかかわらず、企業の間ではこうしたライセンスへの大きな移行は起きていない。

 これは、第2回目の年次ソフトウェア価格・ライセンスポリシー調査で判明した事実の1つだ。この調査はSoftware & Information Industry Association(SIIA)、Centralized Electronic Licensing User Group(CELUG)、Macrovisionの後援で実施された。調査結果は、今週のSoftSummitカンファレンスで発表された。

 調査に参加した企業のうち、CPUごとのライセンスを好むと答えたのはわずか6%だった。その代わりに、同時ユーザー数ベースのライセンスを好む0企業やベンダーが前回から11%増えて53%を占めていた。

 同時ユーザーライセンスでは、ある一定数のユーザーが常にソフトを利用することができる。ライセンス条件を守っているか、料金を払った分の同時ユーザー数を超えていないかどうかの監視は購入者が行う。

 しかし、今回の調査ではライセンスの順守が大きな問題であることが示された。72%の企業が、間違いが起きやすい手作業で監視しているか、あるいは監視を行っていないと答えたからだ。その結果、多くの組織がライセンスを順守していない可能性があることが判明した。

 順守状況を改善するために、38%の企業が契約書に定められた自己調査よりも、何らかのデジタルコンプライアンスモデルを利用したいと回答している。この割合は前回の調査から6ポイント増えた。

 デジタルライセンス施行を好む企業は、ホスティング型の「サービスとしてのソフト」で求められるオンラインログインを使いたいという企業よりも高かった。オンラインログインを好む企業は12%だった。

 今回の調査では、恒久ライセンスからサブスクリプションベースの月額あるいは年額ライセンスに移行するソフトベンダーが増えていることも明らかになった。サブスクリプションライセンスを提供するベンダーは、7%増えて40%になった。これに対し恒久ライセンスを提供するベンダーは60%を占める。

 ソフトサブスクリプションを提供するベンダーは、2007年までに60%に達すると報告書では予測されている。サブスクリプションライセンスの利用を好む企業も、7%増えて43%に達したという。

 明らかに廃れているライセンス施行モデルは、コンピュータにハードウェアドングルやUSBデバイスを差し込んでアプリケーションをインストール、実行できるようにするというやり方だ。調査では、この時代後れの手法を支持する企業はわずか2%、この手法を利用している企業は13%だった。

 その代わりに、80%の企業がライセンス条件の施行にプロダクトアクティベーション技術(45%)かネットワークライセンス(35%)を利用することを望んでいる。今回の調査では、2007年までに57%のソフトベンダーがプロダクトアクティベーションを、47%がネットワークライセンスを採用すると予測している。

 現在、ベンダーの25%はライセンシング環境を使っていないが、この割合は11%程度に低下する見通しという。

 今回の調査で判明した事実は、ソフトベンダーが時代後れのソフトライセンス・価格ポリシーの変更を真剣に検討し始める時期が来たことを示していると、価格問題に関する情報とコンサルティングサービスを提供するSoftwarePricing.comのジム・ゲイズマンCEOは語る。

 ソフトベンダーが最初にすべきなのは、「ハードベースのライセンスを廃止すること。愚かなことだからだ」と同氏。

 その代わりに、恒久ライセンスと比べてベンダーと顧客のリスクが低くなる、限定条件のライセンスを導入するよう同氏は勧めている。このアプローチは初期費用を引き下げ、ほかの方法ではソフトを買う金銭的余裕がないような顧客にも市場を広げられると同氏。

 同氏は、限定ライセンスを導入すれば、ベンダーは請求の頻度を増やして、キャッシュフローを改善できると主張している。顧客にさらなる選択肢を提供すれば、新たな売上やサービス・機能追加の機会という点で、ベンダーと顧客の両方にとって価値が高まるという。

 ソフトベンダーはこれまで以上に価格戦略に注意を払う必要がある。それは業界の成熟、再編、グローバル化によって、業界の年間成長率が5〜6%程度――GDP成長率と同程度――に鈍化しているからだとMcKinsey & Coの主席コンサルタント、ケン・ベリーマン氏は指摘する。

 ソフトベンダーはチャンスを活かし、顧客の需要やビジネス状況と同期しない価格設定を避けるために、「戦術的な価格パフォーマンスを改善して市場の変化を迅速に特定しなければならない」と同氏。

 製品を提供するための「金銭的コストを基に完全な製品ライフサイクルを通じて目標価格帯を評価しなければならない」と同氏。これには、ライフサイクルの中程、あるいは後期に価格を調整して売上高を最大にする態勢も含まれるという。

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