あなたがロボットと暮らす日――ロボット界のニューフェースたちコンテンツ時代の未来予想図(1/5 ページ)

オンライン・ムック「コンテンツ時代の未来予想図」では、さまざまなロボットを紹介してきたが、まだまだ紹介しきれなかったロボットも多数存在する。ここでは、わたしたちと共生しつつあるロボットたちを紹介しよう。

» 2005年12月06日 09時31分 公開
[早川みどり,ITmedia]
この記事で紹介しているロボット一覧
1. 「人とともに暮らす」を目指す家庭用ロボット「wakamaru」
2. 日本の二足歩行ロボットの最高峰「QRIO」
3. ショッピングモールでロボット初の従業員「enon」
4. 高い運動能力とデザイン美を共存させたmorph3
5. 表情豊かなコミュニケーションロボット「ifbot」

「人とともに暮らす」を目指す家庭用ロボット「wakamaru」

 世界で初めて「人と暮らす人型ロボット」として販売を開始した三菱重工のwakamaruは、高い認識能力と自律機能を備え、家庭での使用にも安全なデザイン性を志向している。

wakamaru 見た目もかわいいwakamaru。名前の由来は牛若丸のような特徴ある眉から

 wakamaruのデザインを担当したのは、世界で活躍するインダストリアルデザイナーの喜多俊之氏。wakamaruを機械ではなく、独立した人格としてとらえた結果、一見ユーモラスなwakamaruの顔が誕生した。大きな目は実用性からではない。実は目の部分にはカメラは組み込まれていないのだ。

 少し笑ったような口元も、機械を感じさせない黄色いボディも、人間が受ける印象を配慮してデザインされている。名前の由来となった「まろ眉」は、向かって右にカメラ、左にマイクが内蔵されているが、その位置と形の工夫によりユーモラスでかわいいデザインとなっている。

wakamaruの頭部についているカメラとセンサー。眉と頭頂部にカメラが搭載されている

 wakamaruの頭頂部には全方位カメラがあり、これで動く物体を認識してそちらに体を向ける。また、眉の部分にあるカメラで人間の顔を認識し、目を合わせるように顔を向ける。こうすることで、常に人の顔を見て話しているように動くのだ。顔の識別は、10人まで登録が可能だ。

 体には10カ所以上のセンサーを搭載しており、障害物を避けたり、段差で止まることができる。センサーは超音波センサーや赤外線センサーなど、目的別に配置されている。

 wakamaruは「生活リズム」というべき自律行動機能を備えている。ユーザーから指示されたスケジュールと、wakamaru自身の生活リズムとの2つを組み合わせて行動している。

 指示されたスケジュールの時間になると、指示された場所で指示された行動を取る。例えば、「朝7時に食卓の横で最新の交通情報を伝える」などだ。一方、スケジュールが入っていない時間は、自分の生活リズムで行動する。充電が必要になれば自分で充電しに行くし、自分から家族について歩いたり、気ままに家の中を歩き回ったりする。夜は充電ステーション(基本ポジション)で寝て、朝になると起きる。

 このwakamaru自身の生活リズムは、ユーザー自身が専用インターネットサイトから編集できる。wakamaruのコンセプトである「人とともに暮らすロボット」、つまり、人がロボットと一緒に「生活している」という実感を与えるためには、wakamaru自身の自由な行動も必要との考えからだ。

脇や肘の関節部分には挟み込み防止のセンサーを搭載。さらに素材にも気を配った安全設計だ

 wakamaruが家の中で動き回る動線は、最初にユーザー自身がwakamaruを連れて歩くことで移動用マップとして記憶している。実際には、天井近くの壁などに目印となるマーカーを2つ貼っておくことで、頭頂部のセンサーとマーカー2つの距離を三角測量の原理で計算し、自分の位置を認識している。

 家庭に入って人間とともに生活することを想定しているため、安全性は最重要項目となっている。例えば、手の素材は、万が一、目に当たった場合でも目を傷つけないよう、眼科医の指導の下に柔らかくなめらかな素材を使用している。

 また、手が人や物に触れると、腕の動きを弱くして、危険のないよう設計されている。脇や肘の挟み込み防止対策、背中のランドセルを開けると動作停止するなどの対策も万全だ。腕は触ると動きを停止する安全装置でもある。裾のバンパーも同じで、万が一、何かに触れれば、自動的に動きを止める。

 この存在感ある魅力的なロボットは、東京23区内限定で100台のみ、本体価格157万5000円で販売している。地域限定はメンテナンスが行き届くように、台数限定は価格が市場でどう判断されるかを見るための、いわばテスト販売だ。レンタルは行っていない。

資料提供:三菱重工業

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