NASプラットフォームの差別化に取り組むMicrosoft

Microsoftは現在開発を進めるWindows Storage Server 2003 R2に、重複ファイルの統合機能など幾つかの新技術を盛り込み、差別化を図ろうとしている。

» 2005年12月15日 19時50分 公開
[Henry Baltazar,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftが、自社の標準OSと自社のNASプラットフォームとの間で差別化を図るのは重要なことだ。

 「Windows Storage Server 2003 R2」では、アプライアンスプラットフォームとしての競争力を高めることを狙った興味深い技術が幾つか導入されるようだ。

 Windows Storage Server 2003 R2のコードは現在、RTM(製造工程向けリリース)段階に入っており、2006年初頭には、数社のベンダーがこの新OSを搭載したNAS製品を出荷するものと筆者はみている。

 Microsoftは今回、Windows Storage Server 2003 R2のみに搭載され、標準の「Window Server 2003 R2」OSでは利用できない機能を追加しようとしている(関連記事)

 筆者の考えでは、Microsoftが自社の標準OSと自社のNAS(Network Attached Storage)プラットフォームとの間で差別化を図るというのは重要なことだ。

 こういった差別化がなければ、Microsoftの標準のファイルサーバをセットアップするか、Network ApplianceやSnap Applianceなどのベンダーが提供している既存のNAS製品を利用すれば済むようなケースで、MicrosoftのNASプラットフォームを導入する理由が見当たらなくなるだろう。

 Windows Storage Server 2003 R2リリースでは、「Single Instance Storage」(SIS)と呼ばれる機能が導入される。SISはボリュームをスキャンし、重複するファイルが見つかると、それらを統合する。

 この機能がきちんと働くのであれば、Windows Storage Server 2003 R2で動作するNAS製品の効率が大幅に改善されるだろう。また、NASベンダー各社もそれぞれの製品に同様の機能を追加するのではないかと筆者は期待している。

 Windows Storage Server 2003 R2には、PDFやXMLを含む広範なファイルフォーマットのコンテンツの索引付けをすることが可能な高度な全文検索機能が組み込まれる。

 早い話、従業員が仕事に必要な情報をタイムリーに見つけることができなければ、膨大なファイルを保存していても何の役にも立たないわけである。

 Windows Storage Server 2003 R2にはファイルスクリーニング機能も組み込まれているが、これは拡張子に基づいて不正なファイルの侵入を阻止するだけである(ファイルの中身を実際にチェックするわけではない)。つまり、技術に詳しいユーザーであれば、NASユニットを欺くこともできるわけだ。

 筆者は、数週間後にはWindows Storage Server 2003 R2を搭載したNASユニットのテストを開始できるものと期待している。

 Windows Storage Server 2003 R2が2006年、どれだけの成功を収めることができるのかまだ予測はつかないが、ほかのNASベンダーにプレッシャーがかかるのは間違いなさそうだ。

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