設備投資を1/4に――富士通が次世代光伝送装置を他社に先駆けて発表

富士通は、光クロスコネクトによるメッシュネットワークを実現する次世代のGMPLS対応WDM装置を発表した。IP放送サービスや次世代携帯電話網での需要を開拓する。

» 2006年01月17日 16時48分 公開
[堀見誠司,ITmedia]

 富士通は1月17日、次世代のWDM(光波長多重伝送)装置「FLASHWAVE 7500X WDMシステム」を発表、同日より販売を開始した。FLASHWAVE 7500Xは光ダイナミッククロスコネクトやGMPLS(Generic Multi-Protocol Label Switching)といった光伝送の先端技術を採用した製品であり、富士通ではNECやシスコシステムズなどの競合他社に先駆けてリリースすることで、急成長するWDM市場で優位に立つ考えだ。

 FLASHWAVE 7500Xは、音声、映像、データ、そして無線アクセスを統合する次世代ネットワーク(NGN)を支えるバックボーン網における今後の需要を見込んだ、WDM「第3世代」にあたる製品。特に「携帯電話アクセス網の広帯域化とそれによるキャリアバックボーンの大容量化は避けて通れない」と、経営執行役フォトニクス事業本部長の近間輝美氏は高速な光アクセス装置との組み合わせで発表する背景を説明した。

5年後にネットワークインフラの設備投資量が3倍以上になり、アーキテクチャを見直さないと事業者は破たんすると語る近間氏

 第3世代のWDM装置の要件として近間氏は、(1)リング(ノード)同士をつなげ、光信号のままメッシュ状に自由に拡張可能であること、(2)自律型でネットワークの運用変更が柔軟に行えること、を挙げた。FLASHWAVE 7500Xでは(1)について、ネットワーク間のデータ中継をパス設定により光波長レベルで行う光クロスコネクトを実現し、トラフィックの分岐ポイントに1台設置するだけでメッシュ状のネットワークが構成できる。現行の第2世代のWDMでは、マニュアルによるケーブル接続でネットワーク間をつなぎ、光信号から電気信号に変換する必要があった。また、波長を任意に選択して多重化するという光波長選択方式を採用。従来の光クロスコネクトに比べて装置の小型化が図れ、4つのリングネットワークを構成する場合に「設備投資コストが従来の約1/4になる」(近間氏)という。

FLASHWAVE 7500Xは1台でSONET/SDH、WDM、イーサネットの各インタフェースを収容する

 (2)については、モジュールの自動認識機構や光信号の経路制御が可能なGMPLSへの対応により、回線サービスの開設や変更にかかる工数を従来の約1/5に抑えた。

 FLASHWAVE 7500XはIPベースの映像配信サービスやIDCインフラの二重化、次世代携帯電話網などでの用途を想定しており、バックボーンのWDMを第三世代に置き換える機運にあるという北米市場でも国内同様「30%のシェアをとる」と、近間氏は目標を掲げた。

 製品は7月末より出荷開始する。価格は税別で2800万円から。

 また、富士通アクセスから、光アクセス関連装置としてCWDM(短距離向けWDM)「FA4206 XG-WDM」(3月末出荷)、レイヤ2ベースのアグリケーションスイッチ「FA3205 GOASW」(4月末出荷)、光メディアコンバータ「FA2206 XGbE-MC」(3月末出荷)も同時に発表された。いずれもアクセス網の広帯域化に合わせ、10Gbpsの大容量に対応する。価格は、税別でFA4206が570万9000円から、FA3205が160万円から、FA2206が344万8000円から。

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