インタビュー
» 2006年02月08日 15時19分 UPDATE

GPLv3、オープンソース振興について聞く:「日本政府はさっさとオープンソース振興から手を引いてしまえ」――VA Linux佐渡氏 (1/2)

GPLv3についての議論が本格的に開始されつつある。非常に大きな出来事であるにもかかわらず、国内ではこの問題がそれほど議論されていないように見える。VA Linux Systems Japanの佐渡秀治氏はGPLv3をどう捉えているのだろうか。

[聞き手:西尾泰三,ITmedia]

 GPLv3についての議論が本格的に開始されつつある。非常に大きな出来事であるにもかかわらず、国内ではこの問題がそれほど議論されていないように見える。ここでは、GPLv3 Conferenceに八田真行氏を派遣する後押しをしたVA Linux Systems Japanを訪ね、マーケティング部長の佐渡秀治氏にGPLv3をどう捉えているかについて聞いた。話は日本政府のオープンソース振興の是非にまで展開していく。

シュッシュッ 「現在の状況を見ているとGPLv3が張り子の虎になるような状況にはならないだろう」と佐渡氏

ITmedia 既にリポートされていますが、GPLv3についての議論が本格的に開始されつつあります。VAリナックスでは、このリポートを書かれた八田真行氏をGPLv3 Conferenceに派遣する後押しをしたそうですが、GPLv3についてVAリナックスとしての見解をお聞かせください。

佐渡 今回やっと初のドラフトが出たものなので、GPLv3そのものにコメントするのは難しいです。また、GPLv3が完成したとしても個々のソフトウェアがGPLv3を採用していく流れができるかどうかは分かりません。このため、かなり長い目で状況を見つめていく必要があります。既にリーナスは先走りしてしまってるようですけど(笑)

 ただ、全体を通して見ると、良く練られたライセンスだと思います。Free Software Foundation(FSF)としては今回のドラフトに彼らがGPLに込めたい信条をすべて注ぎこんだのでしょうが、八田君らが言っているように「思ったよりは極端ではない」と私も思います。今後は、このドラフトを基にさまざまな意見を反映させ、より現実的で実用性のあるライセンスへと完成度を上げていくことになるでしょう。

 そう考えると、やっとGPLv3への道筋ができたのかと感慨深いものがあります。正直、VAリナックスという企業がある間にGPLv3が出るとは思ってませんでしたので。

ITmedia 同様の印象はDebianのsargeリリースのときも感じましたか?

佐渡 (笑)。冗談はさておき、DRMの条項については、今の情勢なら大幅に修整または削除されると思いますし、何よりも今回のGPLv3の作成プロセスが民主的で明確なものになっているのは素晴しいです。これだけの議論と意見の集約を重ねれば、少なくともGPLv3が張り子の虎になるような状況にはならないでしょうね。

ITmedia 現状でほかに注目している部分はありますか?

佐渡 全体的に明確な表現が使われていることや、国際性を重視していることは重要なポイントですね。実は八田君は今回のGPLv3 Conferenceの期間中、IRCでリアルタイムに近い報告を送ってくれていました。それを見ていた時にはじめて知ったのですが、“distribute”や“copy”、あるいは“modify”といった言葉は米国の著作権法を前提にした概念で、ほかの国ではやや法的な意味が違うことがあるようです。それらを明確化し、各国の著作権法に沿って解釈させるという方向性は、これだけGPLソフトウェアが広まった現代においては重要な一歩だと思います。日本法への整合性うんぬんは、GPLに関しては良く言われてしまうことですので。

ITmedia そう言えば、日本でもオープンソース振興が叫ばれているわけですが、日本からの参加者はどんな方がいたのでしょう。

佐渡 八田君とフリーソフトウェアイニシアティブ(FSIJ)のg新部氏だけですね。日本は諸外国と比較してもGPLに対する理解も浅くなく、政府レベルでオープンソースを振興しているわけですが、ふたを開けてみればこんなものです。かなり多くの企業、組織へ招待状が送られたようですが、直接の議論は避けたのでしょう。

 VAリナックスとしては、事業の根幹であるGPLソフトウェアの存在にかかわることですので最大限の注視をしていますが、日本でオープンソースと叫んでいる多くの組織はこういった環境整備よりも“国産OS”とか“国策ほにゃらら”や“アジア発”といったキーワードを作っている方が良いと考えているのかもしれませんね。

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