MicrosoftとSAPは主要製品間の連携を推進しているが、両社の技術が重複する他の多くの分野で競合を続けている。
ビジネスアプリケーションを作成、拡張する技術に関する両社の取り組みは大きく重複している。こうした技術を提供するSAPのNetWeaver製品ラインはMicrosoftの多くの製品と直接競合しており、以下のような構成要素を含んでいる。
NetWeaverのAPIは、SAPの他の製品と同様に、JavaとSAP独自のABAP(Advanced Business Application Programming)というプログラミング言語の組み合わせをベースにしている。しかも、SAPは、同社のアプリケーションを.NET Frameworkに移植し、信頼性やセキュリティの向上といったマネージコードの利点を活用する計画は一切表明していない。実際、そうした展開はなさそうだ。SAPの顧客のかなりの割合が.NET FrameworkおよびVisual Studioと互換性がないプラットフォーム(Linuxや各種UNIXなど)を使用しているからだ。
MicrosoftとSAPは、もう1つの戦略的分野でも対決している。いずれもサービス指向アーキテクチャ(SOA)への移行を次のIT革命と位置づけ、自社プラットフォームをSOA環境の要として普及させようとしのぎを削っている。SOAでは、ビジネスアプリケーションは、呼び出し可能なWebサービスとしてエクスポーズされた独立したサービスや機能を連携させることで構築される。両社の顧客とパートナーは、両社の競合するSOA基盤のいずれか、つまりSAPのNetWeaverか、あるいはMicrosoftの.NET Frameworkと現在開発中のWindows Communications Framework(WCF)などの技術を選択しなければならない(またはこの両方をサポートしなければならない)。WCFは、2006年終盤に発売予定のWindows Vistaに搭載されるWebサービスメッセージングレイヤだ。
このように競合しながらも、MicrosoftとSAPはこれまで、技術の重複に関して中立的なスタンスを取ってきた。両社ともそれぞれの製品と技術の間の相互運用性の確保に取り組み、両社の重複する技術のどちらを採用するかについては、顧客とパートナーの判断に委ねている。さらに、MicrosoftとSAPはBEA Systems、IBM、Sun Microsystemsとともに、Webサービス間の信頼性の高い安全な通信方法を定義する一連の標準の整備を一貫して進めている。こうした共同作業が継続されることで、少なくとも、Microsoftプラットフォーム上で構築されたWebサービスアプリケーションと、SAPプラットフォーム上で構築されたWebアプリケーションを相互運用できる可能性は高くなるだろう。
技術 | Microsoft | SAP |
---|---|---|
OS | Windows | なし(競合OSをサポートしている) |
データベース管理 | SQL Server | なし(Oracleなど競合データベースをサポートしている) |
ユーザー管理/ディレクトリ | Active Directory、Active Directory Application Mode | SAP Central User Administration |
ワークフロー、アプリケーション統合 | BizTalk Server、Windows Workflow Foundation | NetWeaver XI |
ビジネスインテリジェンス | SQL Server | NetWeaver BI |
ポータル | SharePoint Portal Server | NetWeaver Portal |
デスクトップ生産性 | Office | なし(SAPシステムにアクセスするためのSAPクライアントGUIを提供している) |
開発環境 | Visual Studio | NetWeaver Development Studio |
プログラミング言語 | .NET言語(C#、Visual Basic .NETなど) | Java、ABAP |
中堅企業向けCRM | Dynamics CRM | オンデマンドオプションを備えるSAP CRM |
大企業向けCRM | なし | mySAP CRM、SAP CRMオンデマンド |
中堅企業向けERP | Dynamics AX、GP、NAV、SL | SAP All-in-One、SAP Business One |
大企業向けERP | Dynamics AX | mySAP ERP |
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