あらゆるデータを検索対象に――オラクルがSecure Enterprise Search 10gをリリース

日本オラクルは新たなカテゴリ製品となる「Oracle Secure Enterprise Search 10g」の出荷を開始したことを明らかにした。

» 2006年04月12日 21時34分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 日本オラクルは4月12日、都内で記者発表会を行い、同社の新たなカテゴリ製品となる「Oracle Secure Enterprise Search 10g」の出荷を開始したことを明らかにした。新宅正明社長が「エンタープライズ情報検索市場でシェアナンバーワンを目指す」と話す同製品は、構造化データと非構造化を融合させた検索環境を提供することで、企業における情報活用に新たな可能性を提供するものとなりそうだ。

「OracleがOracleを超える」と話す新宅氏

 Secure Enterprise Search 10gの特徴は、リレーショナルデータベース(RDB)などに格納された構造化データと、メールや企画書、BOM(部品構成表)といった非構造化データの両方を対象に検索できること。また、インターネットとイントラネットの垣根もなくすことによって、ユーザーニーズに合った検索環境を構築することができる。

 同社執行役員でシステム事業推進本部長を務める三澤智光氏は「構造化データ、非構造化データ、インターネット、イントラネットのすべてを融合させるというこれまでの市場の壁を超える」と自信を見せている。

 この日は、Secure Enterprise Search 10gをベースにコールセンターを構築した場合を例に、活用シナリオが紹介されている。ある日、コールセンターに掛かった製品不具合についての電話をエージェントが受けるところから始まる。エージェントは検索環境を利用して該当する製品の製品マスターを特定する。次に同製品のスペック、企画書を検索して入手し、ここでエージェントの作業は終わり、対応が上長に引き継がれる。上長はアクセスコントロールされた環境にログインし、開発段階における企画書、BOM、電子メールのやり取りといった機密に近い情報を検索する。検索の結果、開発段階において問題があったことを示す重要な電子メールがヒットし、問題が解決に向かうというストーリーだ。

 企業内のあらゆるデータを検索できる環境があればこそ、早期に問題を特定できたというわけだ。また、ID管理などのツールを統合することによってアクセスコントロールを実現し、セキュアな環境を整備することも可能であることを示している。

 一方、実際に導入するに当たっての作業が非常に少ないことも強調されている。「インストールに1つの画面、設定にもう1つあるだけで、わずか15分で完了する。また、コードを書く必要するに一切ない」と同社はアピールした。また、ポータル、ファイルサーバ、IMAP4のメールサーバ、Webなどに対するコネクタの開発も柔軟に行えるため、あらゆるリポジトリを検索対象にできることも大きな特徴となっている。

 三澤氏は「Googleはライバルではない」と言い切る。広告モデルであるGoogleと、企業向けにライセンスビジネスを展開するOracleの検索ツールではモデルがまったく違うという考えだ。また、すでにデータベースベンダーとして不動の地位にあるOracleが提供する検索エンジンであること自体に、自信を持っているという。一方で、そのGoogleは同日、企業向けに検索アプライアンスを提供し(関連記事)ており、やはり無関係とは言い切れそうにない。

 構造化データと非構造化データを融合して検索できるという強みを武器に、企業向け市場をどこまで開拓できるかに注目が集まる。

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