ドイツW杯閉幕、気になる東芝の損得勘定――FIFA公式スポンサーの投資効果(1/2 ページ)

イタリアの優勝で幕を閉じた2006 FIFAワールドカップドイツ大会。不甲斐なかったジーコ・ジャパンに比べ、日本勢で気を吐いたのがオフィシャルITパートナーの東芝だ。総額120億円以上ともいわれるスポンサー費用の見返りに東芝が得たものは?

» 2006年07月10日 07時28分 公開
[松浦義幹,ITmedia]

 東芝は2001年6月から2006年11月までの約5年間、オフィシャルITパートナーとしてFIFAと契約を結んだ。前回の日韓大会は韓国市場への本格進出、そして今回のドイツ大会は欧州市場への攻勢強化を目的に、2大会の公式スポンサーを務めた。

国際映像で300億人以上が見たとされる「TOSHIBA」ロゴ

 サッカーW杯のスポンサー契約は、全世界での宣伝活動が許され、試合会場ではテレビカメラの正面に看板広告を出せる「オフィシャルパートナー」と、その下位に位置し、大会開催国内のみでの宣伝活動に限定される「オフィシャルサプライヤー」の2種類がある。ドイツ大会ではオフィシャルパートナー15社(日本企業は東芝のほかに富士写真フイルム)、オフィシャルサプライヤー6社が名を連ねた。

 東芝は、PCやPCサーバの提供および保守を通して大会運営をサポートする「ITカテゴリー」のオフィシャルパートナーで、3000台近い同社製ノートPCを大会事務局と12の試合会場、スイスのFIFA本部に納入した。それらは大会関係者の認証システムや登録システム、プレスセンターの情報検索システムなどに活用された。

 このオフィシャルITパートナーのために東芝が支払った金額は、5年間(2大会)の基本契約料が80億円(推定)。さらに、FIFA公認パブリックビューイング(ドイツ国内12都市で展開)への協賛、フットボールラウンジ(ネットカフェ)の支援、W杯に準じるFIFA公式大会の運営サポート、巨大コマーシャルディスプレイの設置などで、これら関連イベントの経費なども加えると、総額は120億円を超えるといわれている。

今大会からFIFA公認となったパブリックビューイング。ドイツ国内12都市で展開された

 では、東芝はこの120億円に見合う投資効果を得たのか? 最大の収穫は、国際テレビ映像でひと際目立った「TOSHIBA」という真っ赤なロゴの露出による認知度向上だろう。日韓大会では述べ288億人、ドイツ大会では述べ300億人以上が視聴したとされている。

 「ブランドの認知、企業イメージの向上という点では間違いなく大きな効果があった。特に欧州においては日本人の想像以上にサッカーW杯のスポンサーという社会的ステータスは高く、顧客に与える影響はもちろん、従業員のモチベーションも飛躍的に高まった」と話すのは東芝情報システム英国社の社長、安部嘉男氏。

 欧州ではアテネオリンピック、トリノ冬季オリンピックとビッグイベントがたて続けに開催されたが、安部氏によれば「オリンピックは期待ほど盛り上がらなかった。欧州が本当に盛り上がるのはサッカーW杯だけ。PC市場や家電市場も、クリスマス商戦並みの需要が何度も到来した状態」という。

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