Office 2007で競合OpenDocumentフォーマットをサポートする狙いとは?

Microsoftが出資している新たなプロジェクトの目標は、OfficeスイートでのOpenDocumentフォーマット(ODF)のサポートだ。Office 2007の標準フォーマットと競合するODFをサポートする狙いはどこに?

» 2006年07月24日 07時00分 公開
[ITmedia]
Directions on Microsoft 日本語版

 Microsoftが出資している新たなプロジェクトの目標は、OfficeスイートでOpenDocumentフォーマット(ODF)をサポートすることだ。ODFはワープロ文書/スプレッドシート/プレゼンテーション/グラフィックス用のXMLベースのファイルフォーマットで、既に一部の政府機関により文書交換の標準フォーマットとして採用されている。今回、新たに立ち上げられたプロジェクトは、そうした市場でMicrosoftのOffice製品と文書管理ビジネスを保護すると同時に、その一方で、ODFの全面的な支持を回避するのに役立つ。ODFは、Microsoftが推進していくOffice XMLフォーマットと競合している。

 この「Open XML Translator」プロジェクトでは、ODFフォーマットとOffice XMLフォーマット間で変換を行うための、Officeアプリケーション用のプラグインとコマンドラインユーティリティの開発にあたる。Office XMLは「Office 2007」のデフォルトの保存フォーマットとなるほか、Officeの既存バージョンにも後付けでサポートを追加できる。プラグインはOffice 2007で動作し、コマンドラインユーティリティは一括変換をサポートするほか、プラグインを実行できないOfficeの旧バージョンもサポートする。トランスレータの最初のリリース(2006年中の提供が予定されている)は、Word用のOffice XMLフォーマットしかサポートしないが、2007年には続いてExcelとPowerPointのサポートが追加される。なお、トランスレータはOpen Sourceライセンスの下でリリースされ、インドのAztecsoft、フランスのClever Age、ドイツのDialogikaなど、Microsoftのパートナー企業により開発される。

 このプロジェクトの狙いは、公共部門市場におけるODFの脅威を阻止することだ。ODFの脅威が最初に浮き彫りになったのは、マサチューセッツ州の州政府が文書交換の標準化プロジェクトにAdobe PDFとともにODFを採用した際だ。それ以来、ODFはベルギー政府の同様のプロジェクトでも採用され、ほかにも各国政府が採用を検討中だ。またODFは2006年5月には、ISO(国際標準化機構)により国際標準規格として認定され、さらに勢いを増している。

 MicrosoftはOfficeスイートでのODFのサポートを保証することで、同スイートや関連製品(SharePoint Serverなど)が政府機関市場で軽視される事態を回避できる。一方、外部のプロジェクトに出資し、パートナー企業に運営してもらうことで、Microsoftはコストおよび人事面での投資を最小限に抑え、ODFの全面的な支持を回避し、また、同標準の実装をめぐる批判や訴訟の可能性を抑えられる。

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