動き始めたデュアルコア インテル® Itanium® 2 プロセッサ、本当の大変革がここから始まる“過去”からの脱却――エンタープライズ・サーバー選択の新常識

登場から5周年を迎えるインテル® Itanium® プロセッサファミリ。市場が順調に立ち上がる中、これまでMontecitoという開発コードで呼ばれていた「デュアルコア インテル Itanium 2 プロセッサ9000番台」がいよいよ市場に投入される。同プロセッサの可能性に迫る。

» 2006年08月09日 12時00分 公開
[ITmedia]
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 この夏、インテル® Itanium® プロセッサファミリは登場から5周年を迎えた。まったく新しいアーキテクチャということもあり、当初は立ち上がりの鈍かったインテル Itanium プロセッサファミリだが、エコシステムの整備が進むにつれて、市場でのシェアを伸ばしつつある。特にわが国では、2004年後半から急速に市場が立ち上がり、2006年第1四半期にはついに先行するRISCプロセッサ(SPARCおよびPOWER)を金額シェアで上回る水準に到達した(IDC調べ)。このインテル Itanium プロセッサファミリの最新情報について、インテル・マーケティング本部デジタル・エンタープライズ・グループ サーバ・プラットフォーム・マーケティング部の徳永貴士部長にうかがった。

インテル・マーケティング本部デジタル・エンタープライズ・グループ サーバ・プラットフォーム・マーケティング部の徳永貴士部長

 同じインテル製のプロセッサということもあり、インテル® Xeon® プロセッサと比較されることが多いインテル Itanium プロセッサファミリだが、その位置づけ、あるいは搭載サーバシステムの価格帯という点で、両者は必ずしも競合する製品ではない。乱暴に言ってしまえば、システム価格が500万円以下ならインテル Xeon プロセッサの世界、それを超えるとインテル Itanium プロセッサの世界となる。インテル Itanium プロセッサベースのサーバは、RISCプロセッサやメインフレームと競合し、そのリプレースを狙うものであっても、インテル Xeon プロセッサベースのサーバと同じ価格帯で争う製品ではない。

 インテル Itanium プロセッサベースのサーバが、既存のRISCサーバやメインフレームに対して優位性を持つのは、オープンシステムである、という点だ。インテル Itanium ベース・サーバであれば、複数のハードウェアベンダからシステムを調達し、その上で動作するOSを選択し、さらにアプリケーションやソリューションを選ぶことができる。1社のシステム、専用OS、独自のアプリケーションに縛られがちな旧来のメインフレームとはこの点で異なる。それぞれのセグメントで複数のベンダが競争するオープンシステムでは、価格メリットも大きい。

 一方で、複数のベンダによるオープンシステムでは、互換性や相互運用性の問題が指摘されることも少なくない。この点を克服するべく2005年9月にItanium® Solutions Allianceが結成された。同アライアンスには、70を超えるハードウェアベンダとソフトウェアベンダが参加しており、共同で投資を行うことでインテル Itanium プラットフォームを業界標準に押し上げることにある。プラットフォームの標準化は、互換性や相互運用性の問題を解消してくれることだろう。

 このインテル Itanium プロセッサファミリに加わった最新のメンバーが デュアルコア インテル Itanium 2 プロセッサだ。これまでMontecito という開発コード名で呼ばれてきた同プロセッサは、その正式名称通り1つのパッケージに2つのプロセッサコアを内蔵する。マイクロアーキテクチャの細部(命令発行ポート、実行ユニット数など)まで互換性を維持することで、既存のバイナリとの互換性を保ちつつ、キャッシュの改善などにより、性能向上を図っている。従来、命令とデータ合わせて256KバイトだったL2キャッシュを256Kバイトのデータキャッシュと1Mバイトの命令キャッシュに分割したほか、L3キャッシュを従来の9Mバイトから、コア当たり12Mバイト、プロセッサ全体で24Mバイトへと増量している。

 また、デュアルコア化とハイパー・スレッディングを導入したことにより、同時処理可能なスレッド数はプロセッサ当たり1から4へと拡張した。つまり1個のデュアルコア インテル Itanium 2 プロセッサは、ソフトウェアからは4つのプロセッサに見える。従来からインテル Itanium プロセッサは最大512ウェイの大規模SMP構成のサポートが可能だったが、新しいインテル Itanium 2 プロセッサでさらに強化されたことになる。

 このような改良によりインテル Itanium 2 プロセッサの性能は、最大で今までのインテル Itanium 2 プロセッサ(開発コード名:Madison-9M)の2倍になるにもかかわらず、その消費電力(TDP)は、逆に130W(Madison-9M)から104Wへと最大20%引き下げられた。プロセッサの消費電力は、サーバの小型化だけでなく、運用コストに大きな影響を及ぼすだけに、大いに歓迎すべき変更といえる。アーキテクチャ的な互換性の維持に加え、消費電力を抑えたことにより、新しいインテル Itanium 2 プロセッサは既存のインテル Itanium 2 プロセッサ プラットフォームと完全なピン互換性を実現している。


品番 動作周波数 FSB L3キャッシュ TDP ハイパー・スレッディング
デュアルコア インテル® Itanium® 2 プロセッサ 9050 1.6GHz 533/400MHz 24Mバイト 104W あり
デュアルコア インテル® Itanium® 2 プロセッサ 9040 1.6GHz 533/400MHz 18Mバイト 104W あり
デュアルコア インテル® Itanium® 2 プロセッサ 9030 1.6GHz 533/400MHz 8Mバイト 104W なし
デュアルコア インテル® Itanium® 2 プロセッサ 9020 1.42GHz 533/400MHz 12Mバイト 104W あり
デュアルコア インテル® Itanium® 2 プロセッサ 9015 1.4GHz 400MHz 12Mバイト 104W あり
インテル® Itanium® 2 プロセッサ 9010 1.6GHz 533/400MHz 6Mバイト 75W なし

表:デュアルコア インテル Itanium 2 プロセッサ9000番台は6モデル用意され、それぞれ上図のような仕様


 上述のように、インテル Itanium プロセッサが狙うのは、極めて高い信頼性が要求されるハイエンドRISCサーバやメインフレームの置き換えにある。これを可能にするため、デュアルコア インテル Itanium プロセッサでは、信頼性向上を実現する機能も追加されている。これまでPellstonというコード名で呼ばれてきたインテル キャッシュ・セーフ・テクノロジーは、ハードウェアでL3キャッシュのエラーを検出し、問題が検出された場合、自動的に検査を行い、回復不能と判断されたキャッシュラインを無効にする技術だ。

 また、2つのプロセッサで同一処理の同期並行処理を行い、出力を常時比較することで演算結果に誤りがないことを保証する、プロセッサレベル(ソケットレベル)のロックステップもサポートしている。高性能と信頼性の両立は、すべてのサーバ向けプロセッサに要求されることであり、今回発表したインテル Itanium 2 プロセッサもその例外ではないが、インテル Xeon プロセッサ以上に信頼性のウエイトが大きいと言えるかもしれない。

デュアルコア インテル Itanium プロセッサのブロック図(出典:インテル)

この度発表したインテル Itanium 2 プロセッサに次ぐプロセッサとして予定されているのが、2007年にもデビューするといわれるMontvale(開発コード名)だ。Montvaleは今回発表されたデュアルコア インテル Itanium 2 プロセッサのアーキテクチャをほぼ引き継ぎながらFSB(フロント・サイド・バス)を667MHzに引き上げるほか、TLBページサイズの拡張など機能強化を図る予定となっている。

 そして、2008年に予定されているTukwila(開発コード名)では、Montvaleからさらにアーキテクチャの改良が行われる見込みだ。ここではこの度発表したインテル Itanium 2 プロセッサ(開発コード名: Montecito)/Montvaleのアーキテクチャを継承しながらも、FSBアーキテクチャに代わるシリアルインタフェースをベースにした次世代インターコネクトの採用、4コア以上のマルチコア化などが実施される。また、インターコネクト技術の変更により、大幅なプラットフォームの刷新も行われるだろう。将来ラインアップとしては、このTukwilaの後に、マイクロアーキテクチャレベルでさらに大きな変更を加えることを予定しているというPoulson(開発コード名)まで、向こう3年間のロードマップが定まっていることになる。こうした長期ロードマップの存在も、オープンシステムの長所と言えるだろう。


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制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2006年9月30日