「日本のVPNをきれいにする」、チェック・ポイントの杉山新社長

8月1日付けでチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの代表取締役社長に就任した杉山隆弘氏が、同社の今後の方向性について語った。

» 2006年09月27日 08時45分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 「VPNの信頼性、安定性、安全性を専用線並みに高めていき、IP化をさらに加速させていきたい」――8月1日付けでチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの代表取締役社長に就任した杉山隆弘氏は、同社が今後果たす役割についてこのように語った(関連記事)

 つい先週には、NTT東日本でソフトウェアの不具合によりIP電話サービス「ひかり電話」がつながりにくくなるという障害が発生したばかりだ。

 しかし、「だからといって交換機の世界に戻るとは思えない。多少の行きつ戻りつはあっても、IP化のトレンドが逆行することはないだろう」と杉山氏。むしろ、「こうした問題を修正し、改善して前に進んでいくことがわれわれの技術的チャレンジだ」と述べ、チェック・ポイントも「VPNをきれいにし、信頼性や安全性を担保していくという形で役に立っていきたい」と語った。

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの代表取締役社長に就任した杉山隆弘氏

 元々はファイアウォール/VPNで知られるチェック・ポイントだが、ここ数年は境界セキュリティだけでなく、内部セキュリティやWeb/アプリケーション、エンドポイントといった分野に製品ポートフォリオを広げてきた。5月にはラインアップを整理し、パフォーマンスの強化に特化した「VPN-1 Power」と、IDS/IPS、SSL-VPNやウイルス/スパイウェア対策も含めた統合セキュリティを実現する「VPN-1 UTM」という2つのゲートウェイソフトをリリースしている(関連記事)

 セキュリティ市場では、ASICによって処理の高速化を図ったUTMアプライアンスがシェアを伸ばしている。しかし杉山氏は「エンジンとそのための専用言語によって実現されるインテリジェント性がチェック・ポイントの最大の強み」であり、ソフトウェア製品ならではのメリットがあるという。

 「ASICの場合、一点突破のパフォーマンスには優れているが、環境の変化への対応が困難だ。しかも現在、ASICが設計された数年前には想定されていなかったフィッシングやスパイウェアといった新たな脅威が登場している。進化する脅威に対応していくには、汎用的な解が必要だ」(同氏)。リアルタイムのアップデートを可能にする「SmartDefense」も対応力を高める重要な要素だとした。

 同時に、高速化という要求にも力を入れてコミットしていくという。特に「今後、IPネットワークのメリットの1つであるVoIPが広く使われていくようになれば、帯域幅は広ければ広いほどいい。高いスループットでファイアウォールとIPSが同時に動作する必要がある」(杉山氏)。その一環としてチェック・ポイントは9月26日、VPN-1 Powerを強化し、Intel Xeon 5100シリーズとの組み合わせによって10Gbpsのスループットを実現したことを発表した。

 もう1つ忘れてはならない要素が、「内部インシデントに対する防衛力」(杉山氏)だ。「外部の脅威から企業を守るよりも、多様なプロトコルが存在する内部でセキュリティを確保する方が難しい。それも、管理されていなけければ意味がない」(同氏)。

 チェック・ポイントではそうしたニーズに応える手段として、「NGXプラットフォームをベースに、利便性を犠牲にすることなく、エンドポイントやリモートにセキュリティソリューションを提供していく」(同氏)。IP化に対応したモバイル端末の保護もその中に含まれるという。

 「境界部分ではよりパフォーマンスの高い製品を提供していく。また、ダッシュボードを通じて統合管理やアップデートが可能なVPNやマルチレイヤのセキュリティ、エンドポイントの保護といったさまざまな要素を同期した形で提供し、ネットワークのセキュリティにコミットしていく」(杉山氏)

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