グッドデザインとは、視覚的に美しく、機能的にも美しいものでなければならない。では、ソフトウェアにおけるグッドデザインには、どのようなことが求められるのだろうか。
工業用品から日用品、交通、建築に至るまで、さまざまな領域から創造物のデザインを総合的に評価する「グッドデザイン賞(Gマーク)」。1957年に旧・通商産業省によって創設された「グッドデザイン商品選定制度」を継承し、1988年からは財団法人 日本産業デザイン振興会が主催する、日本で唯一の総合的デザイン評価・推奨制度となっている。毎年さまざまなカテゴリーの中からデザインに優れたものを選出しており、今年で50周年の節目を迎える。過去50年間で3万1000点以上がGマークを受賞しており、身の回りの多くの製品でも受賞品を見ることできる。
今年も10月25日に、Gマークの大賞審査会が行われ、大賞製品が決定される。その審査対象を紹介する「グッドデザイン・プレゼンテーション(GDP)2006」が、8月23日〜26日まで東京ビッグサイトで開催された。
自動車や文房具、家電製品や携帯電話などさまざまな分野に受賞作のあるGマークだが、ノートPCなどのハードウェアやソフトウェアの分野からも参加企業は多い。
マイクロソフトは、プロフェッショナルデザインツールの「Microsoft Expression」をGDP 2006の会場で展示した。Expressionは主にソフトウェアのユーザーインタフェース(UI)を制作するためのアプリケーションであり、同社ではこれを利用して、次世代のソフトウェアのあるべき姿とそれに求められるUIデザインを模索・提案していくというテーマを掲げた。
マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部戦略企画本部 部長の成本正史氏は、GDPのステージプレゼンテーションで、「ソフトウェアにおけるグッドデザインとは?」という観点で、次世代のソフトウェアに必要な条件として以下のように述べた。
グッドデザインとは、カッコイイとか便利であるということだけではない。ユーザーはソフトウェアを使うことによって何らかの「体験」をしている。心地よい体験ができること、それがソフトウェアのグッドデザインだと成本氏はいう。
また従来のソフトウェアは機能偏重主義で、開発者だけが大きくクローズアップされてきた。しかし今後は開発者が機能を構築し、それに対して優れたデザインを提供するデザイナーという職種が重要視されるような時代になっていくと成本氏。
こうしたデザイナーに向けて、より簡単に高度なUIを作成するためのツールとして提供する製品がExpressionとなる。ベクトル画像とビットマップ画像の双方が編集可能な「Expression Graphic Designer」、アニメーション制作やWebおよびWindowsアプリケーションのユーザーインタフェース制作に長けた「Expression Interactive Designer」、Web標準にのっとったコードを出力するWebオーサリングツール「Expression Web」という3つのエディションで、ソフトウェアのトータルデザインをサポートする。
「どういったデザインをすればユーザーは心地よい体験ができるのか、それを日々模索して開発していく」こと、これがアプリケーションのエンジニアに求められていると成本氏は提案した。
また成本氏は、Expressionを使ったデザインアワード受賞作の発表を行った。
多くの応募作品の中でも、従来のログイン画面の概念を一新させるユニークかつ優秀な作品と成本氏はその受賞理由として評価した。
成本氏はこうしたユーザーへの働きかけを通して、「マイクロソフトとして次世代のソフトウェアを提案していくことが義務であり、どういった形で発展していくかの可能性を提案しつつ、オーディエンスからは独創的なアイデアを広くもらって製品へと反映させる」とその意義を新たに確認、今後も継続的な活動を約束した。
10月26日には、国内初となる“次世代Web体感イベント” REMIX Tokyo - the next web nowが東京・千代田区の東京国際フォーラムで開催される。さまざまな「次世代ユーザーエクスペリエンス」と「次世代サービスイノベーション」のプログラムが用意されており、ここでも新たなアプリケーションのあり方を探ることができるだろう。参加者全員にWindows Vista RC1版およびExpression Web 最新β版が提供される予定になっている。
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