この導入に際して、一番のポイントとなるのは、まずは経営計画を先に立てたことだろう。野侮ミ長は次のように話す。
「業績が悪化していることを70名の社員全員にちゃんと説明することから始めました。ここで生き残り、会社を大きくしていくにはどうしたら良いのか。業務全般を見直して、無駄をなくす必要がある。『それは何とかしなくてはいけない』とまず社員の気持ちが一つになったと思います。そして目標を掲げて、それを達成するには、営業が主導する生産計画の仕組みに変えていかなくてはならないと説明したのです」
生産現場からの反発などはなかったのだろうか。これに対する野侮≠フ答えはこうだ。
「高い機能を持った製品を作ることに変わりはないので、反発のようなものはなかったですね。生産計画を立案する仕組みづくりには、生産サイドがかなり協力してくれました。会社を良くして行こうという目標があれば、うまく行くものだと思いましたね」
野侮≠ヘ「全社目標管理体制の確立」、「組織力の強化と人材のスキルアップ」、「多品種少量生産の対応と在庫の削減」、「新製品の開発」「営業力の強化」という成功するための5つの項目を挙げ、ITSSPに参加している。また、従業員の半数以上が参加したブレーンストーミングを繰り返し、SWOT分析を取り入れている。システム導入前にこれだけの準備は当然といえば当然ともいえるが、簡単なことではない。
「ITSSPに参加してから参画してもらったITコーディネーターさんの支援も大きかったですね。製造現場での入力作業はバーコードとテンキーのみで行うようにするとか、実情に合わせた工夫もできました。約20工程分の生産計画を半年先まで自動化できるようになっていますが、必要に応じて手動に切り替えることもできます。販売予測だけでなく、下限在庫、安全在庫という項目を設定するなど業務がストップしない仕組みも取り入れています」と野侮≠ヘ話す。こうした細かな工夫は外部の専門家を積極的に受け入れたからこそ実現したものだろう。
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