シトリックスはアプリケーションのアクセスをより自由にInterview(2/2 ページ)

» 2006年10月17日 10時57分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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ITmedia かつて「サーバベースコンピューティング」を掲げていた時代にも、シトリックスの技術はASPで活用されていたと思います。この市場に動きはありますか。

 ここへきて、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)に対する期待は高まっていると思います。われわれは、ここでもアプリケーションに対するアクセスの手法やインフラを提供できます。社会福祉法人向けのコンピュータシステムを開発するワイズマンは、クライアント/サーバ型のパッケージを導入することが難しい小規模な介護施設にシトリックスの技術を使い、ソフトウェアをサービスとして提供しています。すでにユーザー数は8000人に上っています。

 また、データセンターの運用形態も複雑になっていて、すべてアウトソースする、すべて自前で運用する、といった単純なものではなくなってきています。ブロードバンドインフラの整備が進む中、ネットワークの向こうからソフトウェアをサービスとして提供することもできます。

 ネットワークはすでに大衆化し、単なる「配管」となりつつあります。ネットワークインテグレーターやシステムインテグレーターは、ネットワーク、サーバ、そしてアプリケーションを上手く組み合わせ、エンドツーエンドでアプリケーションのアクセスを最適化することが求められています。また、インテグレーターは、そこにビジネスの機会を見いだしているのです。

ITmedia いま業界では「仮想化」が流行しています。アプリケーションの仮想化とは、どんなメリットをもたらすのでしょうか。

 われわれの仮想化は、どこでも、どんなデバイスからでもアプリケーションへのアクセスを自由に行える環境を提供することです。シトリックスでは、アプリケーション環境をストリーミング配信する技術、「Project TARPON」を開発中です。「Citrix iForum 2006 Japan」でも紹介するこの技術を使うことで、ネットワークに接続していなくてもアプリケーションを使い続けられます。仮想化というのは、ユーザーからすれば、アプリケーションがどこにあろうと、快適に使える環境を提供することでもあります。

マイクロソフトとの協業の狙いは

ITmedia 8月、支店や営業所向けのアクセスソリューションを強化するアライアンスをマイクロソフトと発表しました。この狙いは何ですか。

 WindowsサーバとInternet Security and Acceleration(ISA)サーバにシトリックスのWAN最適化ソリューションであるWANScaler技術を組み込み、さまざまなアプリケーションを支店や営業所でも快適に使えるようにする取り組みです。例えば、VoIPを利用する際のエンドツーエンドの最適化も行えるようにします。

 マイクロソフトとの協業を通じて、来年後半までにソフトウェアを開発し、販売を開始する予定です。

 ある調査によれば、従業員のおよそ55%は支店や営業所から基幹業務のアプリケーションにアクセスしています。介在するWANがその使い勝手に影響を与えるのですが、その帯域幅を増強するにはコストが掛かります。

 Web化が進めば、レガシーアプリケーションやクライアント/サーバ型のアプリケーションは不要になる、といった単純な話ではありません。セキュアな仮想化されたアクセスは、ビジネスシーンによってさまざまです。北米市場では、SAPユーザーの実に4割は、シトリックスのソリューションを導入しています。もちろん、SAP自身が大規模なユーザーです。

 シトリックスでは、ソリューションの幅を拡大する一方、われわれのソリューションをより深く利用してもらえるよう顧客やパートナーらを支援していきたいと考えています。

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