10月26日に東京国際フォーラムで開催された「次世代Web体験イベント REMIX」では、最新のテクノロジーやプラットフォーム、サービスなどを紹介する多くのカンファレンス開かれた。それらと同時並行で行われていたのが、「クリエイターズスクエア」でのイベントである。
10月26日、REMIXが開催された国際フォーラムの5階フロアでは、「次世代web体験ゾーン クリエイターズスクエア」と銘打たれた、ほかのセッションとは形式も雰囲気もまったく異なるイベントが行われていた。同時並行で開催された多くのカンファレンスが、マイクロソフトのプロダクトマネジャーやパートナー企業のエンジニアがスピーカーとなり、参加者はそれを静かに聞くという形式であったのに対し、ここクリエイターズスクエアだけは、自由に参加できるさまざまなショートタイムセッションが行われており、Webクリエイターたちの熱気に包まれた異空間という趣だった。
「クリエイターズスクエア」の入り口で実施されていたのは、東京大学 大学院 久松慎一氏による「CHAIN IMAGING」というプロジェクト。1枚の写真を見せられた参加者が、連想する写真を携帯電話のカメラで撮影し、テキストを付け加えて送信。続いて、ほかの参加者が受信データをもとに同じ作業を繰り返し、1枚の写真を発端とした画像とテキストのツリーを作り上げていく仮想実験だ。実際に作成されていく3Dのツリーは、会場のPCで誰もが見ることができた。
そのすぐ隣で実施されていたのは、「Web2.0を表現しよう〜あなたの考えるWeb2.0とは」コンテスト。参加者が「Web2.0とは○○である」の○○に当てはまると思うキーワードをPCで選択すると、すぐに集計されて投票数の多いキーワードが画面上で徐々に浮かび上がっていく仕掛けだ。「コラボレーション」「ロングテール」「コミュニティ」……など、Web2.0を象徴すると思われるキーワードが画面上に大小のサイズで表示されていく
メインステージとなるフロア中央には「オープンワークプレース」と名付けられた誰もが参加できるワークスペースを設置。PCが配置されたデスクとイス、ミーティング用のソファなどが置かれ、ゲストクリエイターたちが次々と招かれて企画会議やブレストが行われるという趣向。著名なWebプロデューサーや編集者を招いてのブレインストーミング、デジタルメディアの映画祭「RESFEST」の先行上映、若手Webクリエイターによる次世代サイトを語るトークライブなどが次々と展開され、その映像が特設されたVJ(Video Jockey)ブースで加工され、フロア正面に設置された巨大な三面スクリーンに映し出される。会場は常にトークとサウンド、さまざまな光に包まれ、クリエイターのお祭りという雰囲気が濃厚だった。
オープンワークプレースをはさんだフロア左右には、マイクロソフトのパートナー企業が展示ブースを設置し、マイクロソフトのテクノロジーを活用したさまざまなリッチなWebコンテンツをデモンストレーションしていた。
例えばウェザーニュースは、Windows Presentation Foundation(WPF)を利用して、世界の気象情報を世界地図にマッピングして表示するシステムをデモ。雲の動きや気温の表示された世界地図が平面から3Dの立体へ、また平面へと変化するダイナミックなインタフェースが注目を集めていた。オープンインターフェイスも、同じくWPFを利用した3D表現・動画・静止画が融合したWebコンテンツを展示。同社が運営するDOING.TVのWPFへの対応をアピールしていた。
エコスは、Windows Server/ASP.NETをベースに開発したOffice製品と連携するブログシステム「ECOSS Solution M3 Blog」をデモ。WordやExcelで作成したドキュメントや表・グラフをダイレクトにブログ投稿できる同システムを実際に操作している観客も数多く見られた。
その他にも、ASP.NETで作成されたオープンソースのCMS(Contents Management System) DotNetNukeのインフォネットによるデモ、ネットディメンションによる次世代3Dコンテンツのオーサリングツール「MatrixEngine SDK」の展示、ヤフーによるデジタルホームエンジンのデモ、中央大学とテプコシステムズによるインターネット上で認証結果を共有するシステムなど、次世代のWebを支えるさまざまなテクノロジーが実演され、各ブースはいずれも観客が絶えない活況を呈していた。
巨大な三面スクリーンのちょうど反対側に設置された「オープンステージ」でも、15分程度のショートタイムセッションが次々と展開されていた。パートナーブースで展示されているコンテンツ制作者が登壇して制作プロセスや開発環境を語ったり、WPFアプリケーション制作のテクニック、XAML(ザムル)のコーディングTIPSなどが取り上げられたりと、開発現場の生の声を聞くことができるため、メモをとりながら聞き入る観客も多く見られた。
マイクロソフトのイベントというと、どちらかというとテクノロジー主体で開発者やIT Pro、システム管理者などの参加が多かったが、「クリエイターズスクエア」にはそうした雰囲気はまったくなかった。従来からあるイベントに慣れた目からは、マイクロソフトが新しいチャレンジを開始したという印象だ。マイクロソフトのテクノロジーが、訪れたクリエイターたちをどれくらい刺激したかが、気になるところだ。
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