メッセージングサーバScalix 11 Community Editionの初見レビューSuper Review(3/3 ページ)

» 2006年10月31日 08時00分 公開
[Michael-Stutz,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine
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利用形態と有償版について

 ScalixにはStanfordとPremiumという2つの利用形態がある。Stanfordユーザーは電子メールへのアクセス以外に個人用カレンダー機能が利用できるが、Outlookクライアントのサポート、グループスケジューリング、公開フォルダ、無線電子メールといった特定の機能の利用はライセンスを受けたPremiumユーザーに限られている。

 無償のCommunity Editionの場合、Stanfordユーザーに対する人数制限はないがPremiumユーザーには最大25名までしか対応できない。それでも比較的規模の小さな企業なら、たいていの場合はこのCommunity Editionで間に合うだろう。

 しかし、Community EditionではプロプライエタリなEnterprise Editionで利用できる一部の機能が使えない。Enterprise Editionは複数のサーバに対応可能で、制約のないPremiumライセンスを購入でき、技術サポートにも追加のオプションが用意されている。このほか、基本的にはEnterprise Editionと同じだがサーバを1台しか運用できないSmall Business Editionも存在する。

企業での利用に即したシステム

 この原稿を書いている段階でScalixの顧客数は400近くにのぼっているが、同社のオープンソースプロジェクトのディレクターであるFlorian von Kurnatowski氏によると、同社ではある企業調査の結果に基づいて現在稼働中のScalixサーバを1万台以上、ユーザーを100万人以上と見ているという。これまでのCommunity Editionのダウンロード件数は3万5000を超えている、とも彼は話している。この件数は、ほんの気まぐれでダウンロードしてみたとか、午後の遅い時間帯の暇つぶしにダウンロードが行われたことを表したものではないことが分かる。何といってもScalix 11の圧縮されたダウンロードファイルは300Mバイト以上もあるのだ。

 Scalixの創立は2002年だが、Hewlett-PackardのOpenMailには最終的にリリース番号が7になるまでの15年もの歴史がある。2003年後半にScalixのデビュー製品となったScalix 8は、HPから受け継いだコードをベースにしたものだった。

 中小企業にとって、Scalix 11のような長い開発履歴を持ったシステムの導入は好ましいことである。登場して日の浅いソフトウェアではなかなか得られない信頼性という恩恵を受けられるからだ。数十名を超えるユーザーで使うようなグループカレンダー機能を必要としない企業であれば、オープンソースのScalix 11 Community Editionは有望なソリューションになりそうである。

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