モダンなプラットフォームで日本のITエンジニアを幸せに(1/2 ページ)

昨年7月の就任時にダレン・ヒューストン社長が掲げたマイクロソフトの3カ年計画「Plan-J」は、今年大きな進展を見せた。「モダンなプラットフォームやツールを使えば、ITエンジニアの仕事は楽しくなる」とヒューストン氏は話す。

» 2006年11月27日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 マイクロソフトは11月30日、Windows Vistaを企業向けにリリースする。セキュリティが強化され、ルック&フィールも一新されるWindows Vistaは、Windows XP以来5年ぶりとなる待望のアップグレードだ。MSDN購読者である開発者らには、完成したVistaのコードが、Office 2007、.NET Framework 3.0とともにすでに提供されている。

 2006年は、ダレン・ヒューストン社長が昨年7月の就任時に発表した3カ年計画「Plan-J」のちょうど中間地点に到達する重要な年となった。ヒューストン氏は、Plan-Jで「日本における投資の拡大」「技術革新の促進」「政府、教育機関、産業界とのより深いパートナーシップ」を掲げたが、特に技術革新では、Windows VistaやOfficeだけではなく、ビジネスアプリケーションのMicrosoft Dynamicsを日本市場に投入するなど、大きな前進が見られた。

McKinseyやStarbucks Coffeeで働いたのち、2003年にMicrosoftに入社したダレン・ヒューストン氏

 ヒューストン氏は、「Dynamics製品は、プラットフォームという位置付け。Dynamicsの上でパートナーが新しいアプリケーションを開発できる」とし、システムインテグレーターらとの協業モデルを説明する。

 「勝算? 世界で最も人気のビジネスアプリケーションはOfficeだ。MicrosoftがOfficeを開発したときも、ビル・ゲイツ(会長)は同じ質問を受けたが、われわれの製品は、開発者らが新しい価値を生み出すプラットフォーム。9月に発表したDynamics CRM 3.0は、だれかの市場を荒らしたり、どこかに押しのけてしまうのではなく、より多くの機会を日本市場にもたらすものだと信じている。これによって多くの分野でCRMの導入が進むだろう」とヒューストン氏。

 彼は日本法人の社長に就任する以前は、米国本社で北米地域の中堅・中小企業向けソリューションとパートナーを統括しており、Dynamics製品のビジネスにも深く関わってきたという。

 「あくまでもプラットフォームというアプローチを取り続け、それまでERPやCRMを使ったことのない企業に売り込んだ。われわれは、ツールの民主化を通じて、それまで財務的に潤っている大企業しか導入できなかったERPやCRMを、入手可能な価格で購入できるようにした」(ヒューストン氏)

.NET開発者の不足は危機的に

 しかし、ここへきて金融分野を中心に需要が急拡大しているものの、日本のソフトウェア業界は、いまだ「3K」のレッテルを払拭できないし、「35歳限界説」が幅を利かせる。日本のITエンジニアが自身の将来像を描けない中、それを尻目に中国などのソフトウェア開発会社が競争力を増している。

 「今後、日本企業のシステムのオープン化が進むと、.NETの開発者に対する需要が急増し、その不足は深刻となるだろう」とヒューストン氏も危機感を募らせる。

 「インドや中国に任せられればいいが、企業の業務システムの場合は、それが難しい。だから、われわれはトレーニングに力を注いだり、開発者やITプロフェッショナルがもっと楽しくなってくれるよう力を注いでいる」とヒューストン氏。

 国内だけでも80人を擁するデベロッパーリレーショングループは、今年夏から出張ワークショップ「Microsoft On」をスタートさせた。Microsoft Onは、すでに北米でも展開されており、忙しいITエンジニアが最新技術を習得したり、スキルアップするのを支援している。ユーザー企業やパートナー企業はもちろん、ITエンジニアのコミュニティーにもエバンジェリストらが出掛け、ITエンジニアと顔が見えるコミュニケーションの機会を増やすのが狙いだ。何と年間1000回の開催を目標に掲げている。

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