「われわれがUTM市場を作ったという自負がある」――フォーティネット岡本社長(1/2 ページ)

ファイアウォール、ウイルス対策といったさまざまな分野から次々とUTM(統合セキュリティ管理)の市場に参入するセキュリティベンダー。そんな中、当初からUTM専業ベンダーとしてスタートしたのがフォーティネットである。フォーティネットジャパンの岡本吉光社長は、「UTM、すなわちフォーティネットだ」と胸を張る。

» 2007年01月05日 08時00分 公開
[聞き手:堀見誠司,ITmedia]

 フォーティネットは、設立当初からUTMという分野にフォーカスしてビジネスを展開してきた、UTM(Unified Threat Management:統合脅威管理)分野ではいわゆる老舗企業だ。中堅・中小企業向け市場で強みを持つが、最近は大企業やキャリア向けのハイエンド市場に注力を始めた。「エンドユーザーからUTMという言葉が聞こえると喜びを感じる」というフォーティネットジャパン代表取締役社長の岡本吉光氏に話を聞いた。

岡本吉光社長 フォーティネットジャパンの岡本吉光代表取締役社長

ITmedia かつては一部の専業ベンダーしかいなかったUTM市場に参入する企業が増えています。

岡本 われわれはローエンド製品から出発して、中堅・中小企業市場では強みを持っていますが、キャリア向けのハイエンド製品市場にまで事業領域を広げ、現在はこの市場に最もフォーカスしています。国内のハイエンド市場では、コンペチターがこれまでとは違い、例えばシスコシステムズやジュニパーネットワークスなどとぶつかることが増えていますね。

 わたしもシスコシステムズ出身で、まともにやっては勝てないので「競合ではない」とシスコに伝えているのですが、先方がライバルだと認識してくれているようで、うれしい半面複雑な気持ちです。ただし、フォーティネットのビジネスはシスコのように全方位型ではなくセキュリティ分野に特化しているので、ソリューションの提供方法が大手とは違ってくると考えています。

 当初、UTMの定義が明確ではなかったのですが、UTMという箱でファイアウォール+VPNなどいくつかの機能を使うことがユーザーに受け入れられるようになってきた。単機能のファイアウォールの市場規模を超えるとの予測もあり、われわれには追い風となっています。

ITmedia UTMはファイアウォールの市場を置き換えるほどの成長を遂げるとお考えですか?

岡本 そのように思っています。キャリアがUTMを利用したホスティングサービスを始めていますし、手軽さがうけてエンタープライズでの導入も進んでいる。UTMの1つひとつの機能を取り上げて、専用機器に比べて劣るといわれることもありますが、今はウイルス対策機能やIPS(不正侵入防御)機能をみても専業ベンダー製品と比較して遜色のないものに進化しています。何よりも、企業がUTMの良さを理解し始めていることが成長要因となるでしょう。

ITmedia なぜUTMが中堅・中小企業に受け入れられたのでしょう。

岡本 われわれの製品でいうと、透過モードの実装によって既存の環境に変更を加えずに導入できる手軽さ、そして1台導入しておけばさまざまな脅威に対抗できるという安心感です。加えて、コストパフォーマンスの良さが挙げられます。ローエンドのモデルなどは10万円前後で導入できます。専任のシステム管理者を置きにくい中小企業では有効なソリューションでしょう。

すべてを自社開発する強み

ITmedia フォーティネットはASICを始め、ウイルス対策などのコンテンツセキュリティ機能を自社開発しています。すべてを自前でそろえるメリットとは?

岡本 そこが他社との違いであり強みです。最も有利な点は、世の中の新しい脅威への対応のスピードですね。例えばWinnyの対策機能は、UTMベンダーとしてはいち早くサポートしました。セキュリティ機能はすべて単一のFortiOS(フォーティネット製品の共通OS)でまかなっていますが、他社が各機能を個別に更新しなければならないのに対して、すべての機能のバージョンアップが一度で済みます。

 また、シマンテックとジュニパーのアライアンス、ウォッチガードやISSの買収など、この業界の動きは激しい。アライアンスでUTMを作ると、後で買収された企業の提供する機能が使えなくなる恐れもあるので、こうした点でも自社開発の強みはあります。

 ベンチャーですから、営業の現場と開発との距離が近く、営業からの要件を反映して新しい機能に対応していこうという意欲は高い。特にNGN(次世代ネットワーク)やVoIPといった日本ならではの要件も、どんどん取り込んでいきたいですね。

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