Thunderbird 2.0の先行レビュー(3/3 ページ)

» 2007年01月26日 09時00分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine
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メッセージ間の移動機能

 たいていのメールクライアントにはメッセージ間の移動機能が用意されているが、閲覧したメッセージの履歴に従って移動する機能を装備したのは、わたしの知る限りにおいてThunderbirdが初めてのはずだ。これはFirefoxにおけるWebページの履歴移動に相当する機能で、Thunderbird上で表示履歴に従ったメールメッセージ間の移動ができるのである。

 例えば受信トレイにある2件のメッセージを読んでから、別のメッセージ保存用フォルダに移動してその中にある2件のメッセージを読んだという場合でも、[キーを押すことでメッセージの閲覧順、]キーを押すことで閲覧履歴の逆順にシームレスな移動をすることができるのだ。なおデフォルトでは表示されていないが、これらの機能はThunderbirdのツールバーに該当する操作ボタンを配置することでも実行できる。

 この機能の有用性にはかなり期待させられる点があるのだが、実際に試したところ、事前の予想とは異なる挙動をする部分があることも判明した。つまり、メッセージの閲覧順が複数のフォルダにまたがっていたとしても問題なく履歴をたどることはできるが、それには履歴中のメッセージの保管フォルダを変更させなければという条件がつくのだ。保管フォルダを変更したメッセージについては、閲覧履歴のループから外されてしまうのである。

 履歴移動機能が役立つ場面にはThunderbird 2.0を使用し始めてから何度も遭遇しているが、今後さらに使い込んでいくに従い、そうした操作法がよりいっそう馴染んでいく予感がしている。この機能は、RSSフィードリーダとしてThunderbirdを使っているユーザーにとって特に有用なはずだ。

 Thunderbird 2.0では、フォルダの表示機能に関する追加も行われている。デフォルトの表示形態は、すべてのアカウントのフォルダを左側のペインに表示させるというものだが、Thunderbird 2.0ではその状態から、未読のフォルダのみ、お気に入りのフォルダのみ、最近使ったフォルダのみ、という絞り込みをかけることができるようになったのである。

 わたしの環境では、何十個ものメールフォルダを使用しているが、定期的に開くのは10個程度にすぎない。今回のリリースで追加された機能を利用するならば、こうした使用頻度の高いフォルダについてはお気に入りフォルダの指定をしておき、それら以外のフォルダを非表示化させれば、めったに使わないフォルダの表示に煩わされなくなるはずである。

機能拡張の管理と自動更新機能

 今回のThunderbirdには、Firefox 2.0で採用された機能拡張関連の改善点が持ち込まれている。例えばThunderbirdにおけるテーマおよび機能拡張の管理は、共通のアドオン用ダイアログで扱うように改められた。このアドオン用ダイアログ上では、機能拡張およびテーマの、インストール、無効化、アンインストールを行うことができる。またインストール済み機能拡張の更新状況をチェックして、より新しいバージョンが存在する場合は自動的にダウンロードする機能も追加されている。

 わたしはThunderbird 2.0のプレリリースビルドを今日まで使い続けているが、その間にも何件かのアップデート版がリリースされており、Thunderbirdによる自動更新の様子を確認することができた。Thunderbirdは更新情報をキャッチすると、必要なファイルを自動的にダウンロードし、更新後の再起動が必要である旨をユーザーに通達してくれるが、そのプロセスが実にスムースに進行するのである。

 Thunderbirdにおける有用な機能の1つとして、ドラフト段階の下書きメッセージを自動的に保存してくれる機能についても触れておく必要があるだろう。実際、わたしは最初の更新インストールを行った際にメッセージの入力中であることを失念してうっかり再起動ボタンを押してしまったのだが、再起動したThunderbirdを見ると、書きかけ中の新規メッセージウインドウは直接表示されなかったものの、その内容は下書きフォルダ中に保存されていたのである。

 機能拡張などのアドオンダウンロード用ページについては、Thunderbird用のものはFirefox用のものよりも洗練さの点で何歩か劣っていると言わざるを得ない。実際にMozilla Add-Onsサイトを開いてみると、ページの下端に追いやられた上に小さなフォントで表示されているThunderbird Add-Onsへのリンクが見つかるはずだ。そして運良くこのリンクの存在に気づいたユーザーがThunderbird用アドオンのページを開いてみると、そこに待ちかまえているのは雑然としか言いようのない分類のされた機能拡張へのリンク群であり、しかもThunderbird Add-Onsと題されたこのサイトから何故かFirefox専用の機能拡張にリンクされているものが多数存在しているのである。

アップグレードするメリットはあるのか?

 Thunderbird 2.0には多数の修正と若干の機能追加が施されているが、大幅な変更が行われている訳ではない。とは言うものの、新しく装備されたタグ機能を使うためだけでもアップグレードする価値はあるだろう。現行のThunderbird 2.0はいまだβ版に止まっているが、わたしが使い始めた先週から今日までの間に大きな不具合やクラッシュに遭遇したことは1度もなく、安定性の点で不安はないはずだ。過去に使ってきたKMailなどのGUI系メールクライアントの場合は、不思議と定期的にクラッシュする傾向にあったため、こうした安定性も1つの重要な要件と見なさなくてはならない。

 現状のβ版は実務に耐えうる安定性を有しており、不安定なメールクライアントに悩まされているユーザー、ないしは旧バージョンの Thunderbirdを使ってきたユーザーであれば、既存のメールデータをバックアップした上でThunderbird 2.0 beta 1を試用してみることをお勧めしたい。

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