わたし:「そうですか。実際社内では甚大な被害が出ているのですが、一般ユーザーにレジストリの手動操作をさせるようなことは極力避けたいんですよ。もし、ご対応いただけないとなると、うちも考える必要があるかなと」
担当者:「と申しますと?」
わたし:「ご存知かと思いますが、御社のソフトを導入したのは、うちのトップが以前に導入していたメーカーのサポートに不満を感じたからという経緯があります。やはり緊急時にどれだけ対応いただけるかということに、トップはこだわりますので。数万人規模のユーザーにこれだけの被害が出ているのに、何もしていただけないとなると、サポート料金を払っている意味がないのではないか、と上から言われてしまいます」
担当者:「そ、そうですか。分かりました。社内で調整しまして、あらためてご連絡差し上げます」
上層部の不満をちらつかせて反応を見てみたが、効果はてきめん。なにやら対策をとってくれそうな手応えがあった。それからしばらくして、担当者から連絡が入った。
担当者:「社内調整の結果、今回は特別に駆除ツールを作成することになりました」
わたし:「ありがとうございます」
担当者:「いえ当然のことです。ただ、緊急と言うこともあり、β版の検証を御社環境でもお手伝いいただきたいのですが」
わたし:「承知いたしました。送っていただければ、こちらでも検証いたします」
担当者:「御社には日頃からお世話になっておりますので、今回、特別な対応をとらせていただきました。××部長様にもよろしくお伝えくださいませ」
わたしはトップとしか言わなかったのに、向こうは部長の名前まで出してきた。相当乗り換えのことを意識しているようだった。アドバイスをくれた情報システム部員にもこの結果を報告した。
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