IT保守大手に迫る構造転換――最先端の物流ノウハウを武器に(2/2 ページ)

» 2007年02月27日 08時00分 公開
[松岡功,アイティセレクト編集部]
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 施設の倉庫スペースは5階9層、延べ床面積3万平方メートルで、スーパーコンピュータからネットワーク機器、パーソナル機器に至る13万4000種、180万点に及ぶ補修用部品を常備。全国への補給機能を一元管理することで、部品の調達から配備、輸配送、回収、修理発注とその入出庫管理に至る各業務のリードタイムを大幅に短縮するとともに、物流コストの低減を図っている。

 倉庫棟は、着荷、入庫、出庫、出荷に至る工程が確立され、川の流れのように滞りなく、確実に短時間で処理される仕組みになっている。また、精密な電子部品を保管するため、全館空調により一定の温度・湿度で倉庫内を管理。さらに全館にセキュリティシステムを完備している。

先進の情報システムと物流設備を駆使

 そうした設備もさることながら、最先端の物流ノウハウの核心ともいえるのが、バリューチェーン・マネジメント(VCM)を実現した同社独自の物流システムの仕組みだ。先進の情報システムと物流設備を駆使して、他品種・少ロット、かつ頻度の高い補給ニーズに応える仕組みを確立しており、倉庫内業務においては物流EDIを導入した自動伝票処理により、手作業を最小限に留めることで正確かつスピーディーな補給を実現している。

NECフィールディングの保守部品供給のフォーメーション

 また、全国に点在する倉庫からの補給指示は、オンラインネットワークを介してリアルタイムに自動処理されており、首都圏メール便や東・名・阪の幹線便、路線便、航空便などの輸配送ネットワークを駆使して、川崎を午後6時に発送、全国の主要地域へ翌朝8時30分に着荷させることを実現。倉庫から顧客の保守現場へは、2時間以内に部品を供給できる体制を確立している。

 同社ではこうした最先端の物流システムを最大限活かそうと、昨今ではNEC以外のメーカーの製品の保守サービスにも乗り出しており、保守契約に基づいて他社製品を取り扱う機会も増えてきているという。

 こうした状況について同社の物流事業を担当する幹部は、「最近では他の物流専門会社とも比較検討したうえで、当社の物流システムをご評価いただき、業務をお任せいただくお客様も増えてきています。今後はさらに当社の物流システムの有効性、利便性をアピールして、IT分野以外の製品の取り扱いも増やせるようにしていきたいと考えています」と語っている。

 こうした保守サービスのマルチベンダー化、さらには物流システムの適用範囲の拡大も、今後のITサポートサービス会社の新たな“売り”の一つになっていくのではないだろうか。「あるパーツ川崎」を取材して、筆者はそう実感した。

(「月刊アイティセレクト」2007年3月号のトレンドフォーカス「IT保守大手に見るロジスティクスの最先端ノウハウと迫られる構造転換」より)

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