IT保守大手に迫る構造転換――最先端の物流ノウハウを武器に(1/2 ページ)

コンピュータの保守・運用を中心に事業を展開するITサポートサービス会社が構造転換を迫られている。しかし、長年の保守事業で培ってきたサービス拠点網を駆使した最先端の物流ノウハウを保持している企業は、これをより広範囲に活用する方策に乗り出している。

» 2007年02月27日 08時00分 公開
[松岡功,アイティセレクト編集部]

 NECフィールディングは、スーパーコンピュータからパソコン、ネットワーク機器に至るまで多種多様なITシステムをサポートする幅広い技術力によって、ITシステムの導入から運用・保守までのトータルサービスを提供しているNECグループのITサポートサービス会社である。

 最大の強みは、全国400カ所以上という国内最大規模のサービス拠点網を活用し、4750人のカスタマーエンジニアによる技術力とともに24時間365日の体制でサービスを提供していることだ。その強みをもとに、同社はさまざまな調査で実証された「顧客満足度(CS)ナンバーワン」という代名詞を持つ。

ハード保守からトータルサービスへの転換を

 事業領域としてはITサービス全体に広げつつある同社だが、実態として収益の基盤を成しているのはハードウェアの保守事業。これはもともとNECのコンピュータの保守子会社として成り立ってきた経緯があるからだ。その保守事業がここ数年、市場全体として落ち込んでいる。とりわけハードウェアの保守料金はハードそのものの価格と連動するだけに、オープン化によってハードの価格が下落すると保守料金も落ち込む。

 この傾向は今後も続くとみられることから、同社をはじめとしたITサポートサービス会社はどこも構造転換を迫られている。その取り組みについてNECフィールディングの片山徹社長は、以前のインタビュー記事でこう語っている。

 「ハードウェアの保守については、市場自体が縮小傾向にあるわけですから、さらに効率を上げて減少幅をできるだけ抑えるようにしなければなりません。その一方で、今後伸ばしていかなければいけないのは、ハードウェアだけでなくソフトウェア、ネットワークを含めたシステムの保守および運用サービス、さらにはアウトソーシングといったITサービスの領域です。今後はこの分野を年率20%以上伸ばしていきたいと思っています。この分野の国内市場の成長率は6〜7%程度だと認識しているので、それからすると非常に高い目標かもしれません。でも当社だけでなくNECグループをあげてITサービスに本腰を入れていけば、可能性は大いにあるとみています」

 「ハードウェアの保守」から「ITシステムの導入から運用・保守までのトータルサービス」へ、事業の主体をいかにシフトできるか――ITサポートサービス会社の構造転換の成否はこの点にかかっている。

物流システムの適用範囲の拡大も売りに

 一方で、大手のITサポートサービス会社は、長年の保守事業で培ってきた全国に広がるサービス拠点網を駆使した最先端の物流ノウハウを保持していることから、これをより広範囲に活用する方策にも乗り出している。

 最先端の物流ノウハウとは具体的にどのようなものか。折しも筆者は昨年12月中旬に、NECフィールディングにおける保守部品の物流システムの中枢施設である「あるパーツ川崎(川崎機材センター)」を訪れる機会を得たので、そのときの取材をもとに最先端の物流ノウハウのポイントをピックアップしてみよう。

「あるパーツ川崎」の保管エリア

 同社の物流業務は、顧客先でIT保守サービスを提供するカスタマーエンジニアに補修用部品を提供するのが役目だ。その中で「あるパーツ川崎」は、全国に広がる物流網に対する計画的な部品の配備、拠点倉庫や集中倉庫から顧客先へ供給された部品をただちに補充(補給)する機能を担っている。つまり、顧客のシステムに対応する倉庫群で部品の欠乏が生じないように、常に補給する重要な役割を果たしているのである。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2010 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ