追加コストはホントに必要?――Oracle DBだけでILMオラクルデータベースの新潮流(1/2 ページ)

ストレージベンダー各社を中心に提唱されているILM(Information Lifecycle Management)。増え続ける情報量に比例して拡張を迫られているストレージのコスト削減を実現するソリューションとして注目されているが、実はOracle Databaseを導入している企業であれば、莫大な追加コストを掛けることなく、ILMを実現できるのだ。

» 2007年03月16日 08時00分 公開
[敦賀松太郎,ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「オラクルデータベースの新潮流」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


無駄な投資にご用心

 企業システムで扱われる情報量は、日々刻々と増え続けている。とりわけ、日本版SOX法や新会社法など内部統制強化を求めるコンプライアンスに対応するために、あらゆる証跡や操作履歴の保管が義務付けられたことによって、情報量は輪を掛けて急増している。

 それに比例するように拡張・増強するニーズが高まっているのが、ストレージである。いくらストレージの大容量化、低価格化が進んでいるとはいえ、膨大な情報を格納するために必要なストレージのコストが増え続けては、他のシステムを新規に導入したり、再構築したりする機会も失われてしまう。

 そこでストレージベンダーが中心となって提唱しているのが、ILM(Information Lifecycle Management)だ。ILMでは、情報には作成され、使用されてから保管され、最終的に破棄されるというライフサイクルがあると考える。そして、その時々の情報の重要度に応じて、最適なストレージで管理しようというものだ。つまり、重要度が高く、頻繁にアクセスする情報は信頼性の高いストレージに保管。重要度は高いもののアクセス頻度が低い情報はコストパフォーマンスに優れたストレージに、廃棄寸前の重要度が低い情報は低コストのストレージに保管するわけだ。これにより、情報を確実に保護し、増え続ける一方の情報に対応するストレージの増設コストを削減できるのである。

 しかし、いくらトータルコストが削減できるとはいえ、ILMの仕組みを導入するにはそれなりのコストを覚悟しなければならない。ディスクアレイ装置など物理的なストレージにしても、例えば現行のファイバチャネルストレージはそのまま使うとしても、アクセス頻度が低くなった情報を保管するためにSATAディスクによるニアラインストレージを導入するには、コストが掛かる。また、重要度に応じて情報の保管先を自動的に変更できるようなソフトウェアを導入する場合もコストが掛かる。

 こうしたコストを、ベンダーやSIerのセールストークと値引きされた見積書を鵜呑みにして、「必要経費」とみなしてはいないだろうか。もちろん、目指すシステムを実現するためには、追加導入しなければならないハードウェア/ソフトウェアはある。だが、その前に、今のシステムを利用してどこまで実現できるのか、ということを検証すべきだろう。

 特に、多くの企業システムに基幹データベースとして導入されている「Oracle Database」のユーザーならば、「使えるのに、使っていない機能」がないかどうかを振り返ってみることを強くお勧めする。

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