エンタープライズ2.0で柔らかい知識共有が始まるよく効くエンタープライズサーチの処方箋(1/3 ページ)

企業がWeb 2.0を取り込むようになると、ネット上でブログやSNSが普及したように、企業内でもボトムアップのコンテンツが急増していく。それを集合知として分析し、企業価値に結び付けるのがエンタープライズサーチの役割だ。

» 2007年03月20日 08時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

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 2000年ごろをピークに、ナレッジマネジメント(KM)ソリューションへの関心が薄れていった背景には、グループウェアや文書管理システムと、人の知識をどう扱うかといった命題との間に乖離(かいり)があり、暗黙知の移転が困難と思われたことが大きかったという。結局、KMはリーダーシップや社員教育など経営施策の分野で語られ、ITソリューション分野での盛り上がりはいったん冷めていった。

 しかし、2004年ごろからブログやSNSが登場し始め、コンシューマーサイドでWeb 2.0への関心度が高まると、企業内でも新たな情報共有や次世代KMが検討されるようになってきた。

 「今後企業の中でWeb 2.0の手法が活用されるようになると、検索が非常に重要な要素になる」と語るのは、野村総合研究所(以下、NRI)の情報技術本部技術調査部で副主任研究員を務める亀津敦氏だ。ブログに関する調査・実験を繰り返し、人の“柔らかい知識”を効率的に伝える可能性をKMの観点で注目してきた。

 同氏は、ボトムアップから情報を作り出してネットワークに乗せる時代が本格化するとした上で、それをいかに見つけ出し、分析して活用するのかといった部分を受け持つのが、エンタープライズサーチの役割になると指摘する。

読みたいブログを見つけるには断然サーチエンジン

 2006年8月に、NRIがシックス・アパートおよびイードと共同で実施した「ブログ利用の状況に関する調査」によると、約4000人のネットユーザーを対象としたサーベイでは、その4分の1がブログを利用しているという結果となった(図1)。また、組織で働いている約2000人の回答者の中では、イントラブログを書いている人の割合は6%強にとどまるものの、今後組織内で使いたいという潜在的なユーザーはネットユーザー全体よりも多いことが分かった。これは、SNSやWiKiなどにしても同様だろうという。

図1 図1●企業組織より先行するコンシューマー(出典:2006年8月「ブログ利用の状況に関する調査」/『ブログ白書2007』RBB PRESS)(クリックで拡大)

 「ブログやSNSを使い始めた企業は増えている。Lotus Notes/Domino 7.0.2やマイクロソフトのSharePoint Server 2007など、大手のコラボレーションスイートにもそれらが実装されたことで、今年から企業内部でも柔らかい情報共有が始まるだろう」と亀津氏は予測する。

 インターネットでは読みたいブログを見つける手段として、圧倒的にGoogleやYahoo!、MSNなどの検索エンジンが使われているという調査結果がある。したがって、企業内でブログやSNSのようなEGM(Employee Generated Media)が増加していっても検索エンジンがなければ、暗黙知や日常の気付き、体験談などを探せず、それらを価値につなげられないことになる。

 また、Web 2.0のトレンドはマッシュアップやフィードが注目されているが、コラボレーション系のアプリケーションなどがマッシュアップされ、Web上でほかと連動するようになると、そのソースとなる情報が検索可能であることも求められてくる。

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