今後のエンタープライズサーチでは、「Google検索アプライアンス」や「Oracle Secure Enterprise Search 10g」など、比較的広く簡単に検索できるESPで、組織内の情報を共有化していったり欲しい情報を見つけ出したりする段階からスタートする企業が増えていくことが、1つの普及の道筋として考えられる。
またその一方で、本格的な情報活用段階にあり、専門的な知識の発見に検索を使う企業では、オートノミーの「IDOL」(関連記事)やファストサーチ&トランスファの「FAST ESP」(関連記事)、IBMの「OmniFind」などが提供する、高度な分析機能や拡張開発が可能な検索エンジンが求められるなど、上記との二極化が進むことも考えられる。
「検索エンジンはまだ発展途上。横の広がりと機能の広がりが等倍に拡大するものではなく、目的によって複数の製品が組織内に並存し、使い分けられることもあり得る」(亀津氏)
昨年までは、エンタープライズサーチを広めようという動きが盛んだったが、今年の後半から来年以降は、エンタープライズ2.0が本格化することでその意味合いが大きく変わってくる。こう予測する同氏は、「組織内の情報の持ち方が変わることで、検索エンジンそのものの位置づけも変わり、エンタープライズサーチに新たな役割を期待する段階に入る」と話す。
イントラブログのベンダーがエンタープライズサーチベンダーと協業している例も多くなってきた。エンタープライズ2.0に向けた取り組みが始まっている中、情報を探す手段としてのエンタープライズサーチの役割にも目を向けることが必要になりそうだ。
- エンタープライズサーチで情報共有――アシストの場合
情報共有を通じて競争力を高めたい――こう考える企業は数多い。アシストでは、SFAやポータルサイト、ファイル共有などで情報共有を試みたが、どの手法も社員に定着しなかったという。
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エンタープライズサーチの効用の陰であまり語られないのが、Lotus Notes内における情報検索の困難さだ。Lotus対応をうたいつつも、まったく使い物にならないサーチエンジンも多いという。この避けられない課題に、企業はどう対処するのか。
- サーチの「条件」 企業の戦略、論理を結果に反映できるか
検索結果はベンダー任せにしない――。今後のエンタープライズサーチは、検索過程を可視化して、企業の論理を検索に反映させるソリューションが主流になるかもしれない。
- 「日本企業の情報活用は力不足」――オートノミーが目指す検索の自律化
混沌とした情報の蓄積からいかに価値を見いだせるか――。この知的情報資産活用の難テーマに、オートノミーは、ケンブリッジで研究されたパターン照合技術と概念抽出技術で解を示すという。
- 情報共有の活性化を阻む8つの落とし穴
文書管理システムやKMの利用が形骸化する中、簡単に文書公開できるツールと高速な検索エンジンが連携する、エンタープライズサーチ(企業内情報検索)に初めてトライする企業向きのソリューションが登場している。まずは使ってもらい、次第に情報共有の文化を育てていくのも有効な方法だ。
- エンタープライズサーチが必須となる理由
エンタープライズサーチが、業務の効率化や生産性向上のためのツールとして注目されている。専業ベンダーだけではなく、業務ソフトやシステムベンダーがこぞって参戦し、市場は加熱する一方。このソリューションがなぜ注目され、また企業になくてはならなくなるのか。2回にわたり探っていく。
- 【特集】よく効くエンタープライズサーチの処方箋
企業内に蓄積された膨大なデータの中から複雑な条件で目的の情報を拾い出すエンタープライズサーチがいま、注目を集めている。本特集は、その最新動向や導入事例を交え、企業の情報検索における課題を明らかにしていく。
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