Web2.0テクノロジー――ブラウザを超えるユーザーエクスペリエンスの開発技術1分ショートレビュー

ブラウザの標準をベースに対話性を高めるAjaxの登場により、リッチなユーザーインタフェースを実現する技術の選択肢が大きく広がっている。Flex、JSF、Ajaxなど、Web2.0アプリケーションの開発技術を総括する。

» 2007年03月26日 10時06分 公開
[克元 亮,ITmedia]

ここで紹介する記事は、developerWorksの「Web 2.0ユーザー・インタフェース・テクノロジー」です。


 1990年代は、C言語やVisualBasicによって、クライアント上にアプリケーションを構築するのが一般的だった。このクライアント/サーバモデルは、ローカルPCで動作するため、レスポンスが良く機能豊富なインタフェースを実現できる。しかし、PCに十分なスペックを要求したり、アプリケーションを配布したりしなければならない。

 そのため、投資対効果の面で見合わないとの判断から、サーバ集中型のWebアプリケーションへと移行が進められてきた。だが、HTMLベースでは、ユーザーインタフェースが明らかに貧弱で、ユーザーの期待には応えきれていない。

 ユーザーは、いまだに即座に変更が反映されるExcelのような操作性を望み、ITサービス部門はコスト抑制のためサーバ集中型のアプリケーションを望んでいる。ユーザーの生産性を上げ、かつコスト効率を良くするためにはどうすればよいのか。このトレードオフの関係を解決する1つの方法として、Web2.0アプリケーションがある。

 Web2.0アプリケーションを実現するために、サーバ集中型でありながら、対話性の高いインタフェースを開発できる技術が登場している。本稿では、以下の5つを対象に、登場した背景や選択の指針も含め解説している。

FlexおよびOpenLaszlo

 Flexは、Adobe/MacroMediaが提供するFlashをベースにした開発フレームワーク。OpenLaszloは、Laszlo Systemsがオープンソース化したフレームワーク。どちらも、XMLを独自に拡張した文法でユーザーインタフェースを作成できる。

IBMR Workplace? Managed Client および IBM LotusR Expeditor

 リッチクライアントアプリケーションを動作させるプラットフォームとなるもので、豊かな表現力やサーバとの通信機能のほか、アプリケーションの配布管理機能を持っている。オフラインでも使用できる。

Faces Client Components

 JavaServer Faces(JSF)は、元はJSR127として開発されたJava EE 1.4 コンポーネント。フレームワークのため、すぐに使用できる多くの機能が備わっている。

Ajax

 Ajax(Asynchronous JavaScript and XML)は、標準ベースでブラウザ以上の対話性を開発するための技法/設計パターン。Google Mapsで広く知られることになった。最近では、Ajaxウィジェットが数多く流通し、開発効率の向上につながっている。Ajaxウィジェットについてはこの記事が詳しい。

HTML

 開発者が思っているほど、ユーザーのPC環境は贅沢ではない。実際は、多くのマシンで、いまだにNetscape 3.xやInternet Explorer 4.xが使われている。幾ら、前記のきらびやかな技術が登場したとしても、HTMLを見捨てるわけにはいかない。

 では、これらの技術をいかに選択すればよいのだろうか。本稿では、開発者が初心者で多くのユーザーが使うならHTML、豊かな対話性が必要ならばFlexまたはOpenLaszloといったように選択の指針を挙げている。現在最も人気のあるAjaxは、既存のHTMLを改善したりプラグインを使わず標準ベースで開発したりするなら選択肢となる。

 いずれにしても、選択するに当たって最も重要なことは、アプリケーション要件に応じて技術を選択することだ。これは、分かりきったことだが、開発者は、新しい技術が持つ魅力に取りつかれ、逆の選択をすることが多い。本稿は、その意味で警鐘を鳴らしてくれている。

ここで紹介した記事は、developerWorksの「Web 2.0ユーザー・インタフェース・テクノロジー」です。


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