日本BEAがWebLogic Server 10Jを発表、「仮想版」も上半期に投入へ

日本BEAシステムズは4月11日、SOAの強固な基盤を提供する「BEA WebLogic Server 10J」を発表した。また、OSを介することなく論理サーバでJavaアプリを稼働させるVirtual Editionを上半期に投入することも明らかにした。

» 2007年04月12日 07時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 日本BEAシステムズは4月11日、主力製品の最新バージョン、「BEA WebLogic Server 10J」を発表した。開発生産性をさらに改善し、SOAを展開していく上でキーとなる新しいWebサービス標準を豊富に実装したほか、引き続き性能と信頼性も追求している。

 日本BEAシステムズの廣川裕司社長は、「われわれはミドルウェアのナンバーワンベンダーとして、1月末に締めた2007年度は前年度比15%増の14億ドルを売り上げた。2008年度は、SOA、BPM、そしてWeb 2.0の領域に力を注ぎ、さらにリーダーの座を確かなものにしたい」と話す。

 来日したWebLogicとTuxedoの製品マーケティング担当シニアディレクター、マイク・ピーチ氏は、「複数のアプリケーションを1つのアプリケーションのように見せていくのがSOAであり、その強固な基盤を提供するのがWebLogic Server 10の役割だ」と話す。

 Javaアプリケーションサーバのパイオニアとして、Java Eenterprise Edition 5.0やEnterprise Java Beans 3.0などの最新Java標準に準拠しただけでなく、「SOAを展開していく上で、キーとなる新しいWebサービスの標準を実装した」(ピーチ氏)という。

 また、OpenJPA(Java Persistence API)、Glassfish JAX-WS 2.0(Java API for XML-Based Web Services 2.0)、JAXB 2.0(Java API for XML Binding 2.0)といったオープンソースもサポートしている。

OS不要、仮想環境下でリソースをフル活用

 ピーチ氏は、昨年12月のBEA World 2006 Beijingで発表された「WebLogic Server Virtual Edition」に関しても時間を割いて説明した。

 企業のデータセンターは、限られたスペースに高い処理能力を収容することを追求してきたが、ここへきて、消費電力や発熱の問題が新たに浮上している。プロセッサメーカーだけでなく、業界を挙げてこの課題に取り組んでいるが、x86サーバの平均的なCPU使用率が15%未満であることを考えると、最も効果的な対策は、仮想化技術を利用して使用率を改善し、少ない台数のサーバでより多くのアプリケーションを稼働させることだ。仮想化によってサーバリソースがプール化されていれば、ビジネス環境の変化にも柔軟に追従できるはずだ。

 ただし、x86サーバで一般に用いられている手法では、論理的に用意されたサーバ上で個々にOSを動作させる必要があり、その分リソースを消費し、パフォーマンスの面では犠牲を伴う。BEAが開発を進めているWebLogic Server Virtual Editionは、同社のJava VMであるJRockitをベースとし、仮想化環境に最適化したLiquidVMを使うことで、OSを介することなく、Javaアプリケーションを論理サーバで稼働させることができ、それだけリソースを効率良く生かすことができるという。

 さらに第3四半期にリリースを計画しているWebLogic Liquid Operations Controlを利用すれば、WebLogic Server Virtual Editionだけでなく、仮想化されていないサーバ上で動作するJavaコンテナが混在する環境下においても、負荷に応じてJavaアプリケーションを自由に移動させることが可能となる。

 「まるでアプライアンスのように自由に好きなところでJavaアプリケーションを稼働できる」とピーチ氏は話す。

 仮想化によるメリットは、リソースの効率的な活用だけではない。SOAによって1つのサービスがさまざまなサービスから利用されるようになると、その需要も事前に予測することが難しくなる。仮想化技術を活用すれば、新たなサーバにアプリケーションを移してシステム全体を最適化するプロビジョニングをポリシーに応じて自動化することも可能となり、企業は高い柔軟性を確保できる。SOA基盤としては、欠かせない機能のひとつと言えるだろう。

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