SCMブームの衰退は歓迎、SOAベースの「新世代SCM」を売り込むi2テクノロジーズInterview(2/2 ページ)

» 2007年05月02日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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ITmedia ニュージェネレーションSCMとはどんなものなんですか? かつてのSCMツールとどこが違うのでしょうか?

佐藤 2000年前後にブームを迎えたSCMは、生産工程中のボトルネックに着目する「制約条件の理論」(TOC:Theory of Constraints)を基にした最適化ツールでした。しかし、モノづくりは複数社のバリューチェーンによって行われています。個々の最適化だけでは足りず、全体の「同期化」が必要なのです。ここが新しくやらなければいけない領域です。

 また、システムに合わせるのではなく、システムを合わせる必要があります。効率を追求する分野では、ベストプラクティスを真似るの良い方法ですが、差別化を図って競争力を高める分野には適していません。標準のパッケージに業務を合わせるのではなく、システムを企業の戦略やビジネスプロセスに合わせることが重要になってきます。ERPでさえパッケージに業務を合わせるのが難しいのに、ましてやSCMの世界では無理がありますし、本来やるべきことではありません。

 さらに、これまでSCMを導入した顧客らには、評価する基準がなかったか、仮にあったとしても使われていませんでした。SCMを導入するなら、例えば、どこの在庫が、なぜ減ったのか、を見えるようにしておく必要があります。「データならある」と言う顧客もいますが、SCM-KPIとして、きちんと見えるように集めなければなりません。

SOAベースのビジネスプロセス基盤を投入

ITmedia どのように実現するのでしょうか?

佐藤 われわれは、SOA(サービス指向アーキテクチャー)ベースの「Agile Business Process Platform」(ABPP)を中核とするニュージェネレーションSCMを提案していきます。

 この新しいアーキテクチャーでは、生産計画、需給計画、需要計画、納期回答、在庫補充計画といったこれまでのアプリケーション群をSOAのアプローチによって束ね、ビジネスプロセスの統合/組み替えだけでなく、データの統合も可能とします。サプライチェーンの最適化を図るには、ERPをはじめとする他システムのデータも必要だからです。

 また、これは実際にわたしが東芝時代に経験したことですが、SCMシステムの構築に2年を要しました。これではその間に市場が変わってしまいます。ニュージェネレーションSCMでは、ベストプラクティスをあらかじめテンプレート化して提供するため、膨大なお金と時間がかかる、と言われてきたSCMを「早く」、そして「安く」始められます。

 そして最終的には、サプライチェーン全体でPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルのループを作り上げていきます。そのためには、物事が見えて反省でき、手を打てる仕組みが必要です。それがすべてそろうのが、ニュージェネレーションSCMです。

ビジネスプロセスコンサルティングも強化

ITmedia 佐藤さんが東芝からi2テクノロジーズに移り、ちょうど1年が過ぎました。入社後に感じたことは何ですか。

佐藤 テクノロジーは、やはりナンバーワンですね。これは変わりません。ただし、そのテクノロジーを顧客の課題解決にどう生かすかが課題です。力を入れたいのはビジネスプロセスコンサルティングです。

ITmedia 顧客企業自身にも情報システム部門を中心とし、そうした動きがありますね。

佐藤 わたしも東芝時代には情報システム部長としてスタッフらに、「業務が分からなければ、外注されてしまうだけだ」と話をしてきました。今度はITベンダーとして、企業の情報システム部門を支援していきたいと思います。

 ビジネスプロセスの改善は、コンサルティング会社でもできるかもしれませんが、あるべき姿や夢を語ったあと、実際にどうやればできるか、もi2テクノロジーなら語ることができます。それがわれわれの強みです。

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