社外利用で感じる統合メッセージング機能の実力モバイル Ready!なコミュニケーション活用術(2/3 ページ)

» 2007年05月10日 08時00分 公開
[Rob Horwitz,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

テレフォンアクセス

 Exchange 2007に搭載されている新しいアプリケーションOutlook Voice Access(OVA)は、一般電話からExchange 2007ベースのメールボックスへのアクセスを実現するものだ。OVAでは、音声によって操作方法が指示される。ユーザーは電話機のボタンを押すか口頭(音声コマンド)で指示することで、ボイスメール、FAX、メールメッセージを参照して、内容を確認、返信、転送したり、予定表の情報を確認または変更したりできる。

外出先から電話でメールを確認する仕組み。(1)ユーザーはOVAのアクセス番号にダイヤル、(2)社内のPBXがIP/VoIPゲートウェイとUMサーバに接続、(3)UMサーバ上のOVAがユーザーに認証を求める、(4)OVAが認証データとアクティブディレクトリを照合、(5)UMサーバが音声指示メニューやメッセージ内容をユーザーに提供

 暗証番号(PIN)の入力以外は、どの操作も電話機のボタンではなく音声コマンドによって実行することが可能だ。これには、連絡先情報の検索も含まれ、目的の人物の氏名を音声で伝えることで、会社の人名簿からその人物の情報を引き出すことができる。名前の読みがそのつづりに対する通常の読み方と異なる場合は、ユーザーのActive Directoryエントリに“名前の読み”を追加して検索しやすくすることも可能だ。現在、Exchange 2007の音声認識エンジンが対応している言語は英語のみである。Microsoftは公約はしていないが、Exchange 2007のサービスパックを通じてさらに1、2言語のサポートを追加することを検討している。ただし、サポート対象言語が大幅に拡大されるのは、次のExchangeのリリースを待たなければならない。

 Exchange 2007は、テキストの読み上げ機能を備えており、メッセージヘッダ情報(受信日時、送信者、件名など)、電子メールの本文(ただし添付ファイルやFAXの本文は不可)、受信した会議出席依頼、自分の予定表に既に記録されている予定の詳細などを電話で確認できる。現在Exchange 2007のテキスト読み上げエンジンは、10言語ほど(ブラジル系ポルトガル語、オランダ語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、北京語、スペイン語、スウェーデン語)に対応しており、自動的にメール本文のテキストを解析して、どの言語を使用するべきかを判断する。

 メールやボイスメールメッセージの読み上げ時には、巻き戻し、早送り、一時停止のほか、次のメッセージへの移動、メッセージの削除、ボイスメールまたはメールに対してボイスメールでの返信が可能だ。ただし、OVAではメールボックス内の1フォルダにしかアクセスできない。既定は受信トレイだが、別のフォルダをOVAアクセス用フォルダにすることもできる(Microsoftでは、電話機のボタンや音声で操作することを考えると、複数フォルダへのアクセスは操作上の負荷が大きすぎるとしている)。

 また、会議出席依頼に対する出欠の返事や予定の管理も、電話機のボタンまたは音声で実行できる。例えばシステムに電話をかけ、次の会議に15分遅れることを伝えたり、出席のキャンセルや、ある期間は予定をすべて空けるなどの操作が可能だ。変更を行うと、すべての関係者に自動的にメールにより通知が行われる。

 そのほか、OVAでは電話によるボイスメール関連の設定の変更も可能だ。例えば、新しいボイスメールの応答メッセージを録音したり、PINを変更できる。

限られたカスタマイズ

 Exchange 2007への音声アクセスはOVAと自動応答機能により実現されている。しかし、この2つの機能は汎用的なIVR(音声自動応答)アプリケーションプラットフォームではないため、拡張性はあまりない。例えば、学生が電話でテストの結果を確認するといった簡単なアプリケーションを実現するために、データベースのデータを取得するようにプログラミングすることはできない。

 Microsoftでは、汎用IVRアプリケーションとしてSpeech Platform Services(Speech Serverの後継テクノロジー)を勧めている。同サービスはCommunications Server 2007に搭載される予定だ。

PCアクセスとモバイルアクセス

 ボイスメールとFAXは、PCにインストールされたXP以降のバージョンのOutlook、Exchange 2007 Outlook Web Access(OWA)に接続したブラウザ、Windows Mobile搭載のスマートフォンまたはPDAなどMicrosoft Exchange ActiveSyncが有効なモバイルデバイスからアクセスできる。基本的には大きな違いはないが、使用するクライアントソフトウェアによって、動作はわずかに異なっている。

Outlook 2007およびOWA 2007+IE 6以降

 最も包括的なボイスメールおよびFAX関連機能を提供するのは、Outlook 2007とExchange 2007 Outlook Web Access(OWA 2007)だ。Outlook 2007はMicrosoftの最新の電子メールクライアントソフトウェアとなる。OWA 2007はExchange Serverに搭載されているWebアプリケーションで、Internet Explorer(IE)6以降を使用して、ブラウザからのメールボックスアクセスを実現する。Outlook 2007でクライアント側キャッシュが可能である以外は、Outlook 2007とOWA 2007のUM機能は同じである。

 Outlook 2007とOWA 2007には、ボイスメールメッセージ用のアイコン(電話機のアイコン)と、FAX用のアイコン(用紙のアイコン)があり、メールや会議出席依頼などのメッセージとこれらのメッセージが簡単に見分けが付くようになっている。

 ボイスメールの場合は、“差出人”および“件名”フィールドに、メッセージの長さ(時間)と送り主の名前または電話番号(送り主を特定できなかった場合は“匿名の発信者”)が記載される。メールメッセージと同様にボイスメールでも、送り主がメッセージの重要度を“高”に指定した場合は赤い感嘆符が付けられる。メッセージの本文にはメモ用のフィールドがあり、ユーザーが手動で検索用にテキストを記入しておくことができる。再生には、再生、停止、一時停止、巻き戻し/早送り、音量調節機能を備えた組み込みのWindows Media Playerコントロールが使われ、PCのスピーカーを通してメッセージを聞くことができる。このActiveXコントロールは、Windows XP SP2 に含まれているため、ほとんどのPCには既にインストールされているだろう。

 ボイスメールメッセージの本文には“電話での再生”というフィールドもあり、これを使うとメッセージをPCのスピーカーではなく電話で聞くことができる。これは、空港など、プライバシーが必要とされる公衆の場において便利な機能だ。手順としては、Exchange 2007が指定された“電話での再生”機能用の電話番号に電話をかけ、これが応答されると、直ちにメッセージを再生する。再生が終わると、その電話のままでOVAにログオンしてほかのメッセージを聞くこともできる。

 ボイスメールと同様に、受信FAXにも、送り主(特定できた場合)を示す“差出人”および“件名”フィールド、そしてメッセージ本文には検索用テキストを入力できるメモ用フィールドがある。“件名”フィールドには、FAXの枚数も示される。FAXの内容は、組み込みのTIFFビューアによってFAX画像がメッセージ本文内に表示することで参照できるようになっている。

 Outlook 2007とOWA 2007には、ボイスメールの設定を行うためのインタフェースもあり、OVAのログオンに使用するPIN、“電話での再生”に使用する既定の番号、電話アクセスで参照するフォルダ、ボイスメールのカスタムの応答メッセージなどを設定できる(この応答メッセージの録音には、PC付属のマイクではなく電話を使用する)。

 Outlook 2007とOWA 2007に欠けているのは、受信したボイスメールメッセージに対してシームレスに応答する方法だ。ユーザーは、PCで(録音アプリケーションを使用して)メッセージを録音してこれをメールメッセージに添付するか、一般の電話を使用してOVAにログインする必要がある。

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