ダイヤルアップ接続やインターネットVPNなどを利用して、出先からDominoサーバに接続できるようになる。PHSや携帯電話などで接続した場合は、昔よりも速い回線を利用でき、3.6Mbps(3GのHSDPA)のサービスが現状では最も高速なサービスとして提供されている。しかし、事務所で利用しているLAN環境が100Mbpsなのに比べると、まだまだ低速だと言わざるを得ない。
そのため、Dominoサーバ上のデータベースにPHSで接続し、Notesクライアントから開こうとすると、それだけで数10秒もかかってしまうことが多々ある。そこで、Notesには「複製機能」と呼ばれる、初期のバージョンから存在している中核的な存在の機能があり、この複製機能がモバイル環境での問題を解決してくれる(図4)。
複製機能では、あるデータベースとまったく同じもの(レプリカ)を別のサーバやクライアントマシンに作成し、その後に「追加」「変更」「削除」された情報だけを反映させる同期の仕組みが提供されている。モバイル環境で利用する際は、あらかじめNotesクライアントマシン上に、データベースのレプリカを作成しておくことで、クライアントマシン上にデータベースが存在することになるわけだ。これで一切サーバに接続することなく、オフライン環境でデータベースを利用することができ、開くだけで数10秒もかかってしまうような事態が無くなる。
また、サーバと接続しない状態がしばらく続くと、サーバ上のデータベースとクライアント上のデータベースの情報に非同期状態が発生してしまうが、複製機能ではデータベース間の同期を取る時だけDominoサーバとの接続を確立すればよく、接続時間で課金されるような回線サービスを利用している場合はコストメリットも生まれる。なお、この時に送受信されるデータは「追加」「変更」などの差分情報のため、通信パケット量も最小限に抑えられる。Notes/Domino 6以降では、サーバとクライアント間のパケットを圧縮して送受信する機能も追加され、低速回線を利用するモバイル環境においては非常に有効だ。
ちなみに、クライアント上にあるレプリカのデータベースをさらに複製したい場合は、「レプリケータページ」を利用することで、複数のデータベースについて一括して同期をとることができる。また、ダイヤルアップ接続の際には回線の接続と切断をレプリケータページに追加することで、ワンクリックで回線の接続、複製、切断までを行える(図5)。
今回はモバイル環境におけるネットワーク接続の部分について、Notes/Dominoが持つ機能をいくつかみてきた。次回は、クライアントとして利用できる、さまざまなアプリケーションやデバイスについてみていこう。
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