特売情報は生声に乗せて音声一斉配信システム導入事例(2/2 ページ)

» 2007年06月29日 07時00分 公開
[大西高弘,アイティセレクト編集部]
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気になる顧客の反応

 ただ突然電話に特売情報の音声が入ってきたとき、顧客はどんな反応を示すのかという不安はあった。電話番号を自分の情報としてカード会員になるとき、登録しているわけだから、いつも利用するドラッグストアから電話がかかってきても不信感を募らせることはないという予測は立つ。しかしこの反応についてもやってみなければ分からないというのが、正直なところだったようだ。

 「実際にある店舗にテストとして頼んだところ、遠慮されたケースがありました。やはり顧客の反応が心配だったんですね。神奈川地域の店舗で、やってみようという返事をもらい、テストをすることになりました」と川崎氏は話す。テストをする前に、配信する音声を作成しなければならない。耳障りにならないよう、やさしい女性の声で音声データを作成した。この音声は合成音声ではなく、スタジオでプロに依頼して録音したという。

 テストは2006年の8月、10月、12月の3カ月にそれぞれ一回ずつ行った。最初は1万人程度で試し、2万人へと増やしていったという。

 結果は音声配信をした顧客はしない顧客よりも3%から8%程度多く来店することが分かった。配信する顧客数をさらに増やせばさらに来店者数は増え、ビジネスチャンスは広がるという予測を立てることができたわけだ。

 「それぞれのテストケースで付随する条件を少しずつ変えました。音声情報の内容としてポイントのアップ率を変えたり、チラシを配布していない店舗をよく利用する顧客に配信したりというように、条件を変えたのです。基本的には音声配信をした顧客は上位顧客としましたが、若干の苦情もありましたが、ご説明をするとご理解いただけました。そのほかは数件問い合わせの電話がかかってきたぐらいです」と川崎氏もテストの結果に手ごたえを感じている。もちろん、拒否いる配信相手に対しては、設定を解除して配信しないようにすることはできる。さらに大規模な配信体制を組む場合は、回線の契約を改めて結ぶ必要もあるというが、この結果を受けて音声配信サービスを本格活用するかどうか、現在検討に入っているという。今後こうした情報サービスが全国的に根付いていくとすれば、同社はその先駆けとなるだろう。

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