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» 2007年08月02日 20時26分 UPDATE

“YouTubeの対応はもどかしい”――JASRACらが会見

投稿動画の著作権侵害についてYouTubeとJASRACら国内の著作権団体との協議が行われ、YouTubeの対応にいらだちを募らせた。

[國谷武史,ITmedia]

 日本音楽著作権協会(JASRAC)ら24の著作権管理団体の代表者らが8月2日、東京都内で会見を開き、このほど米YouTubeと行った著作権を侵害する投稿動画の扱いに関する協議の内容について説明した。

 今回の協議は今年2月に続いて2回目。YouTube側からは同社のクリス・マクシーパートナーのほか、米Googleのデービット・ユンヴァイスプレジデント、グーグルの村上憲郎代表取締役社長らが出席。JASRACら24の団体・企業の代表者と2時間半にわたって協議し、YouTubeの対策状況の説明と日本側の要望を伝えたという。

 YouTubeではユーザーが投稿した動画の一部が著作権者の権利を侵害し、特にDVD販売や有料インターネット配信などの2次利用における収益機会を奪うとして、世界各国の著作権管理団体がYouTubeのビジネスを問題視する。

 YouTube側は、規約違反を繰り返すユーザーのID削除や動画1本当たりの再生時間を10分間に制限するなどの措置を取っている。また、一部の著作権者は投稿動画を常に監視し、権利侵害が認められる動画の削除をYouTubeへ依頼するなどの対策を行っているが、悪質なユーザーは動画を複数に分割して繰り返しアップロードするなど、“いたちごっこ”の状態が続いている。

 こうした状態を抜本的に解決するため、Youtubeは2月の協議で「フィンガープリント認証」技術を利用したコンテンツ監視システムを開発する考え(関連記事参照)を日本側に伝えた。これはコンテンツデータのアルゴリズムと投稿動画のアルゴリズムを照合し、パターンが一致するコンテンツを違法動画とすることで排除する、有効な仕組みになるとYoutube側では説明しているという。

 今回の協議では、日本側がシステムの開発状況について尋ねたものの、YouTube側から秋頃の完成を目指すとする以外に具体的な説明は行われなかったという。日本側は、国内の動画投稿サイトが導入しているサイト運営者の自主的な監視体制などを参考に、違法動画の撲滅をYouTube側に改めて申し入れた。

DSCF0006.jpg JASRACの菅原瑞夫常任理事

 YouTubeの対応について、JASRACの菅原瑞夫常任理事は「YouTubeは『新システムで著作権侵害の問題が抜本的に解決される』と繰り返すが、こちらが評価できるような情報は1つも提供してくれない。機密事項なのだろうが、こちらとしては大変にもどかしい思いだ」と述べた。

DSCF0016.jpg 日本芸能実演家団体協議会の松武秀樹氏

 日本芸能実演家団体協議会の松武秀樹氏は、「アニメーションや映画作品のように2次利用の多いコンテンツがYouTubeに投稿されていることで、著作権者は経済的な損失を被る。まずはこうしたコンテンツを“リセット”(違法動画をすべて削除して、投稿動画を管理する体制を築いた上でサービスを再開する)するぐらいのことをYouTubeにはしていただきたい」と語った。

 著作権団体がYouTubeへの反発を強める一方で、プロモーションを目的にYouTubeを積極的に利用する企業や楽曲家なども多く、日本でも東京の独立系UHF局の東京メトロポリタンテレビジョンが放送番組を積極的にYouTubeへ投稿している。

 「実演家の立場では、創造した作品が世の中へ早く広まるのは大切なことなので、YouTube自体を批判している訳ではない。お互いに良いビジネスができるために第一歩として、違法動画が氾濫している現状を直ちに無くしてほしいと言っている」(松武氏)

 日本映像ソフト協会の酒井信義管理部部長代理は、「YouTube側は違法動画を無くすと言い続けているのにまったく減っていない。現状が直ちに改善されなければ前向きな活動をしていくのは難しい」と話した。

 今後の協議については、「YouTube側の説明を引き続き待つ」(菅原氏)として未定となっている。

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