VoIPの落とし穴を埋めるもの(2/2 ページ)

» 2007年08月28日 08時41分 公開
[Paula Musich,eWEEK]
eWEEK
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 Yankee Groupのアナリスト、ズース・ケラバラ氏によると、エンタープライズ管理ベンダーのビッグ4――Hewlett-Packard(HP)、IBM Tivoli、BMC Software、CA――は、何らかのVoIP管理機能を提供してはいるものの、どの製品も大したものではないという。

 「HPやCAなどのベンダーがVoIP管理の分野で行った投資は非常にわずかだ。頼りになる企業が存在しないというのは、ユーザーにとってはいらだたしい状況だ」とケラバラ氏は指摘する。これらのベンダーは、まだ本格的な取り組みを始めていない。十分な需要が見えないというのが理由だが、これは「ニワトリが先か、卵が先か」という問題につながる、と同氏は語る。

 「管理ベンダー各社は、VoIPの普及率が高まらないと堅牢な管理ソリューションを本気で開発しないだろう。しかし、管理ツールがない状態ではVoIPの本格的な普及が進むとは思えない」(同氏)

 VoiceConのゼネラルマネジャー、フレッド・ナイト氏によると、VoIPの配備規模を拡大し始めている企業にとって信頼できるツールが大手管理ベンダーから出ていないという状況が、これまで見過ごされてきたという。

 しかしすべてのネットワーク技術者が、優れたVoIP管理用ツールが存在しないと考えているわけではなさそうだ。NetQoSの顧客の一人は匿名を条件に、「素晴らしいツールはたくさんあるが、毎日20種類ものツールを使う人はいない。80%のケースに対応できる1種類か2種類のツールが必要なのだ。特殊な問題が起きたときには、ツールキットの中から必要なものを探せばいい」と語っている。

 しかしこのNetQoSユーザーによると、改善の余地は常にあり、特に診断関連のヘルプ機能がもっと充実すれば助かるという。

 「わたしが望んでいるのは、問題を特定し、その原因を把握するための相関関係やロジックが製品に含められることだ。優秀なネットワーク技術者は問題を素早く特定できるが、問題の状況を正確に示してくれるツールがあれば大いに助かる。重要な問題が起きている場合は特にそうだ」とNetQoSのユーザーは話す。

 優れた音声品質とパフォーマンスを保証する上で重要なのは、ネットワーク上で何が起きているかを把握することだという。「ネットワーク上で起きていることをリアルタイムで把握する必要がある。ゲートウェイとLANレベルの両方において、どのくらいの通信容量があるかという感触をつかむ必要もある」(同ユーザー)

 こういった可視性を提供するのにベストなポジションにいるのは、どのベンダーなのだろうか。「最も効果的なソリューションを提供できる立場にあるのは、NetQoSとNetwork Generalだ。VoIPでは遅延が重要な問題だが、両社はネットワークトラフィックの把握と解析が非常に得意だ」とIDCのアナリスト、トレーシー・コーボ氏は話す。

 ツールの不備や、トラフィックの流れとパフォーマンスの可視性の獲得といった課題のほかにも、IT部門はVoIPの管理でさまざな問題に直面している。

 そういった問題の1つにソフトウェアのパッチがある。これは、8月半ばにSkypeで起きた大規模なサービス障害の原因にもなった。

 オレゴン州南部にあるUSDA Forest Serviceで音声技術マネジャーを務めるジム・ボールター氏は、「業界は、きちんと機能し、動作が保証されたパッチをテストして配備するというニーズに応える必要がある。VoIP業界はこのニーズをなかなか理解できなかったのではないかと思う」と話している。

 もう1つの問題がセキュリティだ。ワシントンD.C.にあるForest Serviceのグラント・デッカーCTO(最高技術責任者)は、「VoIPのコールコントローラはコモディティOS上で動作している」と指摘する。同社ではVoIPを大規模に配備済みだ。「こういったOSは攻撃を受けることが多いため、しっかりと防護を固める必要がある」と同氏。

 また技術的な問題に加え、テレフォニー独自のスキルや組織的な問題なども、IT部門にデータネットワーキング機器以外の課題について考えさせることになるだろう。

 Black & Deckerのディーン氏は、「そういったスキルセットは社内で開発する必要があると考えている。適切なスキルを持った人材を見つけるのは難しい」と言う。

 「VoIPをサポートするための技術スキルセットは、PBX環境で必要なスキルセットとは異なる。信頼性の高いVoIP環境を維持するには、アプリケーションと通信技術に幅広く精通している必要がある」とForest Serviceのボールター氏は語る。

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