WiMAXか、次世代PHSか? 次世代無線サービスの行方(1/2 ページ)

9月10日から次世代の高速無線サービス(BWA)の免許申請が始まる。携帯電話、PHSに続くサービスは、どのような形に落ち着くのだろうか。

» 2007年09月08日 08時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 総務省は、9月10日から2.5GHz帯の電波を利用した新しい高速無線サービス(BWA)の事業免許申請を受け付ける。今回は全国エリアでサービスを行う事業者2社、地域単位でサービスを提供する事業者に免許を割り当てられる方針だ。全国サービスは主に移動体通信サービス、地域向けにはDSLや光ファイバを補完する固定通信の新たなインフラとして利用される見通しとなっている。

 今回の免許交付では、特に全国サービス向けの2つの免許を巡って、携帯電話や固定通信事業者などの複数のグループが推進する「WiMAX」(802.16-2004/802.16e:モバイルWiMAX)とウィルコムが推進する「次世代PHS」が本命として注目されてきた。

 総務省では、BWA免許の交付条件として主に以下のものを示している。

  • 交付から3年以内にサービスを開始し、5年以内に人口カバー率50%を達成すること
  • 無線設備の開放(オープンなビジネスモデルの構築)
  • 第3世代携帯電話事業者のBWA事業者へ出資比率を3分の1以下とする
  • 国際的な通信方式、技術の採用

 このうち3番目の条件については、当初単独で参入を目指していたNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセス(イー・モバイル)が条件に合致しなくなったため、各社とも連携に乗り出した。ソフトバンクモバイルとイー・アクセスは事業化の共同研究という形で提携を行い(関連記事)、NTTドコモはアッカ・ネットワークスと資本を含めた提携を決めた(関連記事)。残るKDDIは正式発表がなされていないものの、メーカーや金融機関など異業種との提携が一部で報じられた。

 4番目の通信方式は、携帯電話事業者を中心としたグループがWiMAXを計画しているのに対し、ウィルコムは「次世代PHS」で参入を計画する。WiMAXは、世界各国の通信事業者や機器メーカーなどの手で標準規格化が進められている。一方、次世代PHSは主に国内で開発が進められてきた。

 ウィルコムは、既存のPHSがITU-Rで承認された国際標準の規格、東南アジアを中心にサービスが提供されている――などの事実から、次世代PHSも国際的に通用するものと訴求する。

 このほか、京セラと米ArrayCommが開発し、アゼルバイジャンやケニアなど一部の国で商用サービスが提供されている「i-Burst」、米QUALCOMMなどが推進する「Flash-OFDM」がある。

 いずれの規格でも通信速度が下り最大20Mbps超、上りも最大9〜16Mbpsを実現しており、現在の第3世代携帯電話を上回る通信速度のサービスが可能だ。

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