ITILの成り立ちと現状を知る初心者歓迎! ITIL連載講座(2/2 ページ)

» 2007年09月19日 08時00分 公開
[谷誠之,ITmedia]
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ITIL資格取得者の推移

 ITILの資格は、大きく分けて3つある。そのうち、基本的な知識を問う「ITIL Foundation」資格の取得者は2007年6月末現在で 29,500人。2005年には約 8,000人、2006年には約 12,000人となっている。今年は1月から6月の半年間で約 7,000人が同資格を取得した(EXIN Japan調べ)。ITILの注目度はますます上がっていると言ってよい。

 参考までに、情報処理技術者試験・テクニカルエンジニア(システム管理)の資格取得者は、2005年が 443人、2006年が294人、2007年が 331人である(情報処理推進機構)。もちろん制度そのものが異なるし、かたや CBT でいつでも受けられる試験、かたや年に1回だけ実施される試験なので、直接比較することはできない。ただ、ITILがどれだけ注目を集めているか、ということはおわかりいただけるであろう。

 また、ITILの専門的な知識を保持し、導入をマネジメントする能力があることを保証する「ITIL Manager」資格の保持者は、2007年6月末現在で133名となる。2005年、2006年はいずれも約50名の伸びだったのに対し、2007年は1月から6月だけでも30名程度の資格取得者がいる。

 こちらは資格試験に対応した講習会を述べ10日間程度受講しなければならず、その費用もハードルも相当高い。とても個人で受けられる資格ではない。しかも試験は論述式である。受験者はあらかじめ、ある架空の会社に関する事例に目を通しておく。その上で、「ITILを導入するため、この会社の経営者層を説得するにはどうすればよいか?」といった問題が出されるのである。

 残念ながら、国内の合格率は非常に低いらしい(正確な数字は公表されていない)。それにもかかわらず資格取得者が伸びているということは、ソリューションプロバイダを中心に、社員に積極的にこの資格を取得させようとしている表れである。

ITサービスマネジメントとは?

 ITILにおいて最も重要と考えられるのが「サービスマネジメント」である。サービスマネジメントとは、簡単に言えば「ITとビジネスとを結びつけるもの」であり、ITの運用管理をさらに拡張した考え方である。PCの導入やソフトウェアの配布、日々のトラブル対応などもここに含まれるが、目的はそこではない。利用者(ビジネス)の立場からすれば、安心してITサービスを利用できるようにするための、ITサービスの立場からすれば、持っている能力を最大限に利用者(ビジネス)に活用してもらうための、日々の活動のことである。

 サービスマネジメントは、日々のITサービスをサポートする「サービス サポート」(図2)と、中長期的なサービスの提供を行う「サービス デリバリ」(図3)から構成されており、合計で10個のプロセスと1つの機能から成る。本連載では引き続き、この各プロセスや機能について教科書的に、かつ実践的に解説していく。

図2:サービスサポートの構成。5つのプロセスと1つの機能によって構成されている
図3:サービスデリバリの構成。こちらは5つのプロセスによって構成されている

※本連載の用字用語については、ITILにおいて一般的な表記を採用しています。

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